TOP ナレッジ 【Pharma AI Nexgen-製薬AIネクスジェン-】生成AIで論文を書いてみた -生成AIは何故間違えるのか-

knowledgeナレッジ

【Pharma AI Nexgen-製薬AIネクスジェン-】生成AIで論文を書いてみた -生成AIは何故間違えるのか-

August 05, 2025

  • AI
  • Share

こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。

皆さんは生成AIでどのような業務をこなされていますか。今回は、私の学生時代を思い出して、生成AI先生とキャッチボールして作成した以下の「論文」の素案をご紹介します。少し長くなりますがご容赦ください。


生成AIはなぜ間違えるのか 

― 計算機的誤差、誤差伝播、データ品質の三位一体的分析 ― 

生成AIが誤った出力を示す理由は単純なアルゴリズムミスではなく、計算機の精度限界、モデル構造における誤差伝播、そして学習データの不完全性が複雑に絡み合った結果である。本稿では、これら3つの視点から、その根本的原因を体系的に論じる。 

1. 計算機のエラーと数値精度の限界1-3) 

生成AIは数百万〜数十億規模のパラメータを持つニューラルネットワークに基づき、膨大な浮動小数点演算を行っている。これらの演算は、理論上の精度と異なり、有限ビットによる近似値でしか表現できないため、次のような数値誤差が必然的に生じる。 

  • 丸め誤差(Rounding Error): 
    例えば、0.1は2進数で正確に表せない。これを何度も加算すると累積誤差が発生し、理想とは異なる結果となる。 
  • 桁落ち(Loss of Significance): 
    ほぼ等しい数同士の差分計算では有効桁数が失われ、最適化アルゴリズムで扱う微小な勾配の更新が無視されることもある。 
  • オーバーフロー/アンダーフロー: 
    活性化関数や正規化操作で非常に大きな値や小さな値を扱う際、計算結果が数値範囲を逸脱し、学習の不安定性を招く。 

これらの誤差は、重みの更新や推論時の信頼度計算に影響を及ぼし、モデル全体の性能や出力内容に誤りをもたらすことがある。 

2. 誤差伝播法則と深層モデルの構造的脆弱性4-6) 

生成AIは多層のニューラルネットワークにより、入力から出力へと情報を段階的に変換していくが、その過程では小さな誤差が伝播・増幅される構造的な性質を持つ。これは、物理や計算理論における「誤差伝播法則(Error Propagation Law)」と一致する。 

  • 誤差の増幅: 
    入力のごく小さなノイズや数値誤差が、非線形活性化関数(ReLU、Sigmoidなど)や重み行列の変換を経て出力で大きく拡大されることがある。 
  • 勾配消失(Vanishing Gradient)/勾配爆発(Exploding Gradient): 
    誤差逆伝播法において、深層の先頭付近では勾配が0に近づいて学習が止まる一方、特定の条件下では勾配が大きくなり過ぎて不安定になる。これがパラメータの不適切な更新や学習失敗を引き起こす。 
  • カオス的振る舞い: 
    ニューラルネットワークは複雑かつ非線形なシステムであり、初期条件のわずかな違いが最終出力に予測困難な影響を与える「決定論的カオス」に類似した振る舞いを示す場合もある。 

このような構造的な性質が、モデルのロバスト性を損ない、出力のばらつきや誤りの温床となる。 

3. 学習データの質とバイアスの影響7-9) 

生成AIはパラメトリックなアルゴリズムである以上、その知識の源泉はすべて学習データに依存する。データが不完全である限り、AIの出力もまた不完全になる。 

主な問題点: 

  • データの不足と多様性の欠如: 
    ある分野や表現に偏ったデータしか与えられていない場合、AIは一般化能力を持たず、未知の入力に対して不適切な応答を行う。 
  • ノイズと誤情報の混入: 
    誤字・誤訳・誤情報などを含んだコーパスを学習すると、それを「正しいもの」として生成してしまう。生成AIの“幻覚(hallucination)”はこのような誤学習が原因である。 
  • ラベリングミス: 
    教師あり学習において、ラベル誤りは誤ったマッピング関係を強化する。特に言語生成モデルでは、意味的に矛盾するペアが混在すると混乱の原因になる。 
  • 社会的・構造的バイアスの学習: 
    学習データが性別・人種・職業などに偏っている場合、AIはその偏見を自然なパターンとして再現してしまう。 

このような誤学習は、単なる情報誤りだけでなく、倫理的・社会的リスクをも引き起こす。 

結論 

生成AIが間違える理由は、以下の三位一体的な要因の複合による。 

観点 原因 影響 
計算精度 浮動小数点誤差、桁落ち、数値範囲の限界 微小誤差の蓄積、出力の揺らぎ 
モデル構造 誤差伝播、勾配問題、非線形の影響 学習の不安定化、出力の予測困難性 
データ品質 バイアス、ノイズ、不整合、偏り 幻覚、誤情報、社会的偏見の再生 

生成AIの限界を正確に理解し、それに即した設計と利用法を選ぶことが、今後の信頼性向上と倫理的運用に不可欠である。これらの問題に対しては、高精度演算技術の導入、モデル構造の改善、検索強化型生成(RAG)や人間のフィードバック活用(RLHF)による補強など、多角的なアプローチが求められている。 

本稿では、3つの視点から、その根本的原因を体系的に論じた。包括的な資料10, 11についても参考として提示する。 

 
参考文献 

1) Higham, N. J. (2002). *Accuracy and Stability of Numerical Algorithms* (2nd ed.). SIAM. 

2) IEEE. (2019). IEEE Standard for Floating-Point Arithmetic. *IEEE 754-2019*. 

3) Micikevicius, P., Narang, S., Alben, J., Diamos, G., Elsen, E., Garcia, D., … & Shoeybi, M. (2018). Mixed Precision Training. *ICLR 2018*. 

4) Glorot, X., & Bengio, Y. (2010). Understanding the Difficulty of Training Deep Feedforward Neural Networks. *AISTATS 2010*. 

5) Pascanu, R., Mikolov, T., & Bengio, Y. (2013). On the difficulty of training recurrent neural networks. *ICML 2013*. 

6) Szegedy, C., Zaremba, W., Sutskever, I., Bruna, J., Erhan, D., Goodfellow, I., & Fergus, R. (2014). Intriguing properties of neural networks. *ICLR 2014*. 

7) Bender, E. M., Gebru, T., McMillan-Major, A., & Shmitchell, S. (2021). On the Dangers of Stochastic Parrots: Can Language Models Be Too Big? *FAccT 2021*. 

8) Gehman, S., Gururangan, S., Sap, M., Choi, Y., & Smith, N. A. (2020). RealToxicityPrompts: Evaluating Neural Toxic Degeneration in Language Models. *Findings of EMNLP 2020*. 

9) Zhao, J., Wang, T., Yatskar, M., Ordonez, V., & Chang, K. (2017). Men Also Like Shopping: Reducing Gender Bias Amplification using Corpus-level Constraints. *EMNLP 2017*. 

10) Goodfellow, I., Bengio, Y., & Courville, A. (2016). *Deep Learning*. MIT Press. 

11) OpenAI. (2023). *GPT-4 Technical Report*. OpenAI. 

 


以上、いかがでしたでしょうか?内容にご興味のある方は、参考文献で詳細を調べてみてください。ある程度の専門知識があれば、論文を読み解くのも生成AIの助けを借りれば案外、容易です。 

このような独自論文の原案の推敲や審査には、センテンスや段落の参考文献との整合性確認がとても重要です。ラクヤクQCチェックを用いるとこれらの整合性についてAIがアドバイスをしてくれます。研究論文の整合性確認ツールとしてご活用ください。 

株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博

1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。

製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」

「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
製薬事業のあらゆるシーンを効率化する専門文書AIサービスです。
基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
様々な文書の作成・チェック作業を自動化し、圧倒的な業務スピード改善を実現します。

「ラクヤクAI」ご活用シーン(例):

  • 治験関連文書やプロモーション資料の自動生成
  • 作成資料のクオリティチェックや、資料間の整合性チェック
  • 講演内容(資料・音声)の適用外表現モニタリング
  • 薬剤情報やナレッジの検索・調査

その他、個別カスタマイズが可能な生成AI環境で、
社内の知見を統合的に分析・集約したアウトプットをセキュアな環境をご提供します。

  • Share
一覧へ
バナー