ビジネスにおいて、重要な役割を果たす書類が「契約書」です。特に海外企業とのやり取りにおいては、国内取引よりもトラブルが起こりやすいため、契約の内容を詳細に把握しておく必要があります。
しかし、日本と海外では文化が異なるため、契約の方法も大きく変わります。そこで当記事では、日本と海外の契約書における違いや、法務に関する基本的用語解説、契約書を翻訳する際のポイントを解説します。
※2020年11月時点の情報を記載しています
目次
1.日本と外国における契約書の相違点
日本と外国ではコミュニケーションの仕方が大きく異なります。文化の違いを理解するために大切な概念が高コンテクスト文化と低コンテクスト文化です。
日本を含むアジア諸国は高コンテクスト文化に該当します。高コンテクスト文化は抽象的な表現が多く、言葉にしていない内容が濃いコミュニケーション文化を指します。
対して、アメリカやドイツなどの欧米諸国は低コンテクスト文化に該当します。低コンテクスト文化は話が具体的で、言葉にした内容のみが意味を持つコミュニケーション文化を指します。
これらのコミュニケーション文化の違いは、ビジネスの契約文化にも大きく影響を及ぼしています。さらに、英文契約書と和文契約書との違いについて特徴を詳しく見ていきましょう。
1-1.英文契約書は長く網羅的
英文契約書の特徴としては次のような内容が挙げられます。
- 長くて網羅的な文章である
- 契約書に記載されていることのみ実施する
- 曖昧な内容は一切排除する
英文契約書が上記のような特徴を持つ理由の1つに、「口頭証拠排除原則」という概念があります。「口頭証拠排除原則」とは、当事者同士が契約書による契約を交わした場合、裁判所は、口頭による別の合意など他の証拠を考慮しない考え方を指します。
よって、英文契約書による契約では、契約書に記載されていることのみが実施されます。契約書に書いていないことは一切実施されないため、英文契約書は長くて網羅的な文章となります。
さらに、文化が異なる国同士の国際取引は、基本的に性悪説に基づいて契約が締結されます。信頼できない相手を契約によって動かすために、契約書では曖昧な内容が一切排除されます。
1-2.和文契約書は短く抽象的
対して、和文契約書の特徴としては次のような内容が挙げられます。
- 短くて対応の余地が広い内容である
- 契約書に記載されていないことも、協議によっては実施する
- 相互信頼を前提とし、相手の立場に配慮する
和文契約書が上記のような特徴を持つ理由として、同じ法律や商習慣を持つ日本企業同士の契約である点が挙げられます。契約書を短くして対応の余地を広げることで、お互いが得をする着地点を柔軟に探すことが可能となります。
また、契約書には「別途協議事項」等の契約条項が設けられることがあります。相互信頼を前提としているため、契約書に記載されていないことでも協議によっては実施して、相手の立場に配慮します。
2.契約書の翻訳時に不可欠な「知識」とは?
契約書とは、契約を締結する際に作成する契約の内容を記載した文書を指します。ビジネスにおいては、契約時のトラブルを防ぐために作成されます。
契約書にも多くの種類があり、その内容は締結する契約によって異なります。例えば、英文契約書の種類としては、下記のような書類が挙げられます。
英文契約書の種類 | 主な内容 |
---|---|
秘密保持契約 | 秘密情報を相手方に渡す際、その内容を漏らさないよう約束する契約 |
売買契約 | 売主が財産権を買主に移転し、買主が代金を支払うことを約束する契約 |
技術提携契約 | 企業が保有する技術を相手に提供し、相手の会社から対価を得る契約 |
合弁事業契約 | 別々に経営する会社が共同出資して新たな会社を設立する契約 |
ライセンス契約 | 自社が持つ特許関連や著作権等の知的財産を、他の企業に使用させる契約 |
M&A 契約 | 企業の合併や買収に関して、最終的に合意する契約 |
英訳や和訳においては、言葉としての流暢さよりも法律的に正確な表現が重要となります。例えば、国際取引においては、ウィーン売買条約やEUのTRIPS協定など様々な国際条約が関わります。国際取引を行う英文契約書を翻訳するためには、日本の法律だけではなく商取引に関する国際ルールへの理解が必要です。
さらに、契約書は取り扱う商品や事業内容といった業界ごとにも違いがあります。契約書を翻訳する際には、業界ごとの慣例にも配慮する必要があります。
契約書に限らず、翻訳作業は英語力さえあれば上手くいくわけではありません。翻訳者に翻訳する内容の専門知識があることが前提となります。外部の翻訳業者に依頼する場合は、業者の英語力だけでなく、法律や業界に関する専門性についても確認しておきましょう。
3.契約書における自動翻訳の活用方法とは?
翻訳というと、原文をそのままコピーするようなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、言語が変われば文化や常識も変わります。契約書においても、翻訳によって解釈が変わる可能性があります。
よって、契約書の翻訳版は法的効力を持ちません。翻訳版は、正本である契約書の理解を助ける書類として利用しましょう。
実際の使用方法としては、以下の事例などが挙げられます。
例えば、日本企業が英語の契約書で契約を締結する場合、社内検討用に日本語のサマリーや、意思決定のための和訳を作成する必要が出てきます。
これらの翻訳作業や書類作成に時間がかかればかかるほど、意思決定が長引き、ひいてはビジネスの進みにも遅れが生じてしまいます。
自動翻訳を用いて、翻訳作業と書類作成にかかる時間を大幅に圧縮することで、より国際ビジネスを加速させることができると言えます。
4.契約書の翻訳には「AI翻訳」がおすすめ!
近年において、AI(人工知能)の性能が凄まじい勢いで進化しています。特定する狭い分野においては人間の能力を凌駕することも少なくありません。
翻訳業界においても、AIを利用したビジネス向けの翻訳サービスが注目を集めています。その理由としては主に4つの内容が挙げられます。
①人間が行うよりもハイスピード
法務業務の経験者であっても、契約書の翻訳には相応の労力がかかります。人間が契約書を翻訳する場合には、英文契約書の文量にもよりますが、数週間の期間が必要となります。ビジネスにおいてはスピード感が重視されるため、契約書の理解に時間がかかっていては、相手の会社に迷惑がかかるケースがあります。
AIを利用した自動翻訳であれば、契約書の翻訳は数分から数十分程度で完了します。人間が翻訳するよりも、AI翻訳の方がはるかにハイスピードです。
②翻訳業者に依頼するよりもローコスト
翻訳業者に契約書の翻訳を依頼すると、多額の費用がかかります。特に、海外との国際取引が多く契約書が多く発生する会社にとっては、多大な経費となります。
AIを利用した自動翻訳では、月額制による料金プランが多く見られます。大量の契約書を翻訳しても料金が変わらず、経費の削減が期待できます。
③セキュリティレベルが高い
インターネット上の自動翻訳には、無料のサービスも存在します。しかし、無料の自動翻訳は基本的に情報漏洩のリスクが考えられていません。ビジネス利用の際には、セキュリティ対策されたAI自動翻訳を選択する必要があります。
契約書の翻訳において自動翻訳を利用する場合には、データ通信に暗号化システム(SSL)が採用されているかチェックしましょう。また、日本情報処理開発協会(JIPDEC)が定めた情報セキュリティ評価制度である、ISMS認証を採用しているサービスを利用することで、情報漏洩のリスクをさらに軽減できます。
④翻訳精度が高い
自動翻訳を利用する場合は、サービスの翻訳精度を重視する必要があります。特に契約書の内容は複雑なため、法務分野の専門用語を翻訳する高い性能が求められます。
高機能なAI自動翻訳では、法律や業界ごとの特徴といった専門性に配慮した翻訳が可能となります。さらに、翻訳結果を蓄積するデータベースが搭載されていると、利用する度に翻訳精度が向上します。
5.まとめ
近年において、AIは驚異的な速さで進歩しています。それは自動翻訳の分野においても例外ではありません。
特に英文契約書の理解を促進する上で、AI自動翻訳の読みやすい訳文は非常に役立ちます。仕事上でAI自動翻訳サービスを活用すると、スムーズな国際間取引が可能となります。海外企業との取引が活発化する現代において、AI翻訳を利用し、契約書を起因としたトラブルのリスクに備えつつ、ビジネスチャンスを掴みましょう。
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