
近年、AIを活用したがんゲノム医療が注目されています。しかし、がんゲノム医療やAIの活用方法についてイメージがつかない方もいるでしょう。
本記事では、AIを活用したがんゲノム医療の事例や、生成AIの有用性について解説します。AIを活用し、医療の質の向上や業務効率化を図りましょう。
目次
がん治療の重要性
現在、日本では2人に1人が何らかのがんを発症するとされています。2023年に発表された国立研究開発法人国立がん研究センターによると、がん罹患数は1,033,800人であり、そのうち死亡者数は395,700人と推計されました。
人間の体は細胞でできており、正常な細胞の場合は核と呼ばれる中心部分や、その中に遺伝子を含む染色体があります。
この染色体に含まれる遺伝情報や遺伝子のすべてを「ゲノム」と呼び、ゲノムが何らかの原因でダメージを受け、細胞が変異して正常に機能しなくなったものが「がん」です。
がん化した細胞は正常な細胞とは異なり、体からの命令に反して増え続けます。がん細胞が増加し続けると起こるおもなリスクは、以下のとおりです。
- がん細胞周辺の組織を破壊する
- がん細胞がない場所に転移する
- 正常な組織が必要な栄養を奪って衰弱させる
がんの発生要因は、飲酒・喫煙・ストレス・運動不足といった生活習慣の乱れや、加齢・ウイルスによる感染などが挙げられます。
がんによって健康を損ねないよう、日頃から予防対策を徹底することが重要です。また、がんになった場合は速やかに治療を受けることが求められます。
がんゲノム医療とは
がんの治療方法には、手術によるがんの切除や薬物治療、放射線治療などの方法が挙げられます。そのなかでも近年注目されているのが「がんゲノム医療」です。
がんゲノム医療とは、がん患者ごとの病状や体質、薬の効果や副作用を予測し、最適な治療を行うものです。
がんゲノム医療では、患者の検体からシーケンサーと呼ばれる装置で遺伝子情報を取り出す「がん遺伝子パネル検査」を実施したあと、専門医による検討を踏まえ、治療方針を決定します。
2019年6月より、がん遺伝子パネル検査が保険適用になったため、今後もがんゲノム医療を用いた治療を希望する患者が増加することが予測されています。
AIを活用したがんゲノム医療の事例
がんゲノム医療によって患者ごとに最適な医療を行うためには、遺伝子変異に対し、医学論文のデータベースから専門の医師が過去の症例を探し出す作業が必要です。
また、迅速かつ正確な診断・治療法の選択をサポートする技術も求められます。そこで注目されているのがAIを活用したがんゲノム医療です。
以下にて具体的な事例をご紹介します。
AIを活用して遺伝子変異の検討時間を半分以下に削減した事例
富士通研究所は、東京大学医科学研究所(東大医科研)と共同研究を進め、がんゲノム医療を効率化するAI技術を開発し、遺伝子変異の検討作業を半分以下に削減しました。
共同研究では、富士通研究所の言語処理AIと東大医科研の知見を組み合わせ、ナレッジグラフと呼ばれるデータベースを構築しました。
86万件の論文から作られたナレッジグラフでは、240万件のナレッジが格納されています。実証実験では、ナレッジグラフを急性骨髄性白血病の過去の診療ケースに活用することで、論文全体の解読にかかる負担を減らしながら検討作業が対応できるようになりました。
その結果、従来約30分かかっていた遺伝子変異の検討作業を半分以下の時間で実施できるようになっています。
富士通研究所は、がんゲノム情報解析を効率化させるために、愛知県がんセンターとの共同研究を進めています。
AI技術を活用し、がんゲノム医療における診断・治療法の選択、新規治療法などの知識開発を支援する新たなAI技術の開発を開始しました。
今後もAI技術の発展と症例・治療データの蓄積が進むことで、精度の高いがんゲノム医療が提供できることが期待されています。
製薬業界の業務サポートはラクヤクAIで
医療分野と同様に製薬業界においても、医薬品開発の過程では、膨大な数の資料作成や、データベース検索といった業務が想定されます。
しかし、AIを利用有効活用することで、論文の解読にかかる負担軽減が期待できるようになるでしょう。
ラクヤクAIは、膨大なビッグデータからインプットを行い、創薬における文書・資料の自動生成や、薬剤情報・ナレッジの検索をスムーズに進めるツール手段です。
ラクヤクAIを導入活用し、必要なナレッジを効率的に抽出することで、従来よりも短時間でインプットができるようになります。
また、多種多様な治験関連文書 ・ 薬剤プロモーション資材の作成などがスムーズに進むため、創薬にかかる時間や人的コストの削減が期待できます。
ラクヤクAIを使用活用し、創薬事業にかかる時間を短縮させ、業務効率の向上や人件費削減の実現につなげてみてはいかがでしょうか。
医療・製薬業界でAIを活用して作業時間の短縮へ
がんゲノム医療は、近年注目され始めているテクノロジー治療方法のひとつであり、現場の医療従事者の業務効率化を加速させますす。とくにAIを活用することで、遺伝子変異の検討作業を従来の半分に短縮することが可能です。
このようにAIの利活用によって、業務効率化や医療の質の向上といったメリットにつながります。自部門において、AIに業務をアウトソーシングできる領域がないか確認してみることをおすすめします。

医療ライターゆし
大手医療機器メーカー(東証プライム市場上場)にて10年間営業職を経験したのち、現在は医療専門Webライターとして活動中。大手医療系オウンドメディアや医療機関のホームページなどで多くの医療SEO記事・症例/疾患記事・取材記事・LP制作に携わっている。
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