
こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。
これまでは「あの時生成AIがあったなら」と語ったり、自動翻訳からAIエージェントまでの概念を話したりしましたが、今回は業界特化型生成AIシステム「Metareal AI LLM2」について紹介します。
※このコラムでは「生成AI」という場合、弊社親会社・株式会社メタリアル社が開発したLLMオーケストレーション・システム「Metareal AI LLM2」のことを指しています。
実験計画法の概要とその進化
皆さんは「実験計画法」というものをご存知ですか。私は1980年当時に日本科学術連盟の大阪支部の3ヶ月コースを受講したことがあります。
実験計画法は、R.A.フィッシャーによって圃場試験のために開発され、その後、工学分野の実験手法として進化してきました。この方法論は、特定の条件下で発生する事象(特性値)に対して変動をもたらす要因を研究者が仮定し、その特性値を予測する構造モデルの統計的正当性を、ランダマイズ実験で検証するものです。この手法は「要因実験」と呼ばれます。実験で得られたデータを基に、仮定した構造モデルに従って分散分析を行います。
この際、誤差の期待値がゼロであることと、要因水準の平均値がゼロであるという前提のもと、各要因が(プーリング後の)誤差と比較して、有意に大きいかどうかを評価(F検定)し、構造モデルを確立します。最終的に、特性値に影響を与える要因を明らかにすることを目的とし、回帰分析などでさらなる最適化が図られます。
私がここで「実験計画法」を取り上げる理由は、人間の学習プロセス、および人工知能の学習プロセスにおいても、同様の手法が適用されている可能性について説明するためです。
人間の学習プロセスと「要因実験」の類似性
人間は幼いころから成長の過程で、この「要因実験」に類似する行為でさまざまな経験と学習を積み、親を始めとする身近な教師の指導を受けて、自然界と人間社会での生き方について学びます。自分なりの判断基準と周囲の環境との接し方を学んで行くことで、持って生まれた個性(脳のネットワーク形成の傾向)を覆い隠すように、人格(具体的な脳のネットワーク)が形成されると考えられます(話を単純にするために、自律型ロボットに繋がる脳と身体とのネットワークの話は省略します)。
つまり、私たちの脳の中には、各自の「要因実験」の結果が、ネットワーク(個性+人格)として蓄積されているのです。
AIの学習プロセスと人間の類似性
上記の人間の学習プロセスは、AIにおいても同じと考えられます。
基盤とした学習ロジックという個性と学習する題材の順番と内容(と教師役の人間の素養)により、形成されたAIとしてのネットワーク(個性+人格)は、個々に異なると推定されます。
単純な作業であれば、担当者の人格が多様であっても、マニュアルを与えれば、一定の水準以上のアウトプットを得ることは比較的容易です。サブスクリプションのGPTなどのLLMで、個人でプロンプトを組む場合も同じです。
一方で、会社のような組織(多様な人の集まり)で特定の業務をこなす為には、業務を個々のプロセスに分割し、プロセスに適したさまざまな担当者(個性+人格)との連携が不可欠です。多様な人を適切に組み合わせることで、精緻で高度な内容を持つアウトプットが形成されます。
つまり、人選と組織環境の整備は、企業という組織が成果物を産み出すために不可欠になります。
AIのロゼッタ
前述のように、人間で構成された組織が生み出す高度かつ精緻なコンテンツ生成を、LLMが連携することにより実現するためのプラットフォームとして、AIオーケストレーションシステム「Metareal AI LLM2」(以下LLM2という)が開発されました。
LLM2は、本システムの設計者であるメタリアル社の米倉CTOの指導の下、多数のITエンジニアから高い評価を受けています。本コラムでも以前にご紹介したように、私を含むLLM活用を始めたばかりのロゼッタの内部人材も、社内業務において引き続き自動化の成果を上げています。(この話にご興味がある方は、ぜひ以下をご覧ください。)
もしAIの本格的な活用についてお困りの場合は、株式会社ロゼッタにご相談ください。
まとめ
メタリアルグループの一員であるロゼッタがご提供する生成AI(業界特化型生成AIシステム)は、既存の各種LLMの進化を取り込み、実用性の期待されるLLMの誕生の次のステップである、CPU時代の大発明であるOS(オペレーティングシステム)に比すべき、画期的システムとして継続的に進化を遂げています。
CPU時代に誕生したOSオペレーティングシステムが、現代のパーソナルコンピュータやパーソナルデバイスを産み出しました。 LLM時代に誕生したAIオーケストレーションシステムは、近未来のエージェントや、それらによる企業運営の自動化を、産み出すのではないでしょうか。
今話題の生成AI、全社でGPTは使えるようになったものの、本格活用で足踏みしていませんか。 Microsoft365でCopilotは使えるようになったものの、本格活用で足踏みしていませんか。 PoCシステムを外注したけど、誰でも使えるレベルにはならなくて、困っていませんか。
メタリアルグループでは、すでにその萌芽が実証されつつあります。皆様もこの時代を画するさざ波から大きなうねりに連なるトレンドに参加されませんか。

株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博
1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。
製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」
「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
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