
こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。
寒さが厳しくなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、前回は生成AIがガイドラインを代表とする専門ドキュメントを、深く理解し利用するために、どのように役に立つかをご紹介しました。(前回の記事は以下をご覧ください。)
本日は、アライアンス関連業務で生成AIを活用するエピソードを紹介していきたいと思います。
※このコラムでは「生成AI」という場合、弊社親会社・株式会社メタリアル社が開発したLLMオーケストレーション・システム「Metareal AI LLM2」のことを指しています。
アライアンスとは
皆さんはアライアンス関連業務に従事されたことはありますか。私は、特殊な医薬品に関する当局との協議にあたり、同業関係者と一緒に当局と交渉したことがあります。
具体的な内容は、関連ウェビナーにて口頭でご紹介したことがありますので、既にご存じの方もいらっしゃるかもしれません。この一連のアライアンスにより、日本のその特殊な医薬品製造の近代化を達成することができました。ここで詳細を文字で紹介することは、当時の関係者への影響を考慮し、差し控えさせていただき、今回は生成AIをどう活用できそうか、という点だけ考察することにします。
アライアンスと生成AI
読者の皆さんご自身が気付いた特定の課題解決のために、複数のパートナー(協力者)とアライアンスを構築する際、その活動に参加する協力者は各自が保有するパートナーにとって、重要と推測される情報を可能な範囲で共有し、相互協力の可否を評価する必要があります。これは、アライアンスを結成する前の調整段階で不可欠な情報交換です。アライアンスにおいて、成果物であるプロジェクトの目標達成に向けた進行や価格設定の面でリーダーシップを取るには、より多くの情報提供が協力者から求められます。
生成AIの活用も、人をAIに置き換えた一種のアライアンスと見なすことができるというのが、私の見解です。生成AIシステムのユーザー、またはクリエーター(私を含め)と生成AIとのアライアンスは、人や組織間のアライアンスと類似しており、生成AIにとって有用と思われる情報を適切な形式と方法で提供し、その内容の評価を通じて互いに有用性を判断する必要があります。「プロンプトエンジニアリング」とは、まさしくこの活動です。アライアンスの経験が無い人にとっては、とても大変であることは想像に難くありません。
Copilotも含めて、ChatGPTの全社導入で個人ツールとして便利なのはわかるけど、使い方が人によって違うのも困る。アウトプットに再現性が無いと組織として仕事には使えないと悩まれている皆さんは、ぜひロゼッタにご相談ください。用途にあった生成AI活用アプリをご提供いたします。
*メタリアルグループのロゼッタは、数多の生成AIとのアライアンス交渉のノウハウである、「プロンプトエンジニアリング」の実績を持つプロフェッショナル集団です。
<社内用アプリ例>
私は、中国語を母語とするメンバーに、職場の情報を提供するためのツールを最近作成しました。その一部の機能をご紹介します。原文はあくまでの日本語であるので、就業規則や安全衛生に関する知識は日本語を理解してもらう必要はあります。しかし、概要を事前に理解しておくことが理解の助けになると考えました。運用は内規が対象です。内規は開示できないので、ここでは身近にある過去の執筆原稿を投入してみました。
要約ツール、ダイバーシティツール(1)
アップロードされた日本語ファイルの要約を作成し、英語で(中国語で)などの指示で、作成した要約の指定された言語への参考訳を提示します。「英語の表で」などのクエリで日本語と指定言語の表形式を指定することもできます。ファイルはワードまたはpdfにしてください。修正要望は、石川博まで連絡ください。
要約
石川氏は製薬分野で工場薬事を担当しており、GMPの知識を深めることが重要であると述べています。彼は新薬の承認申請において、保健所や都道府県の薬務担当者との人間関係の構築が重要であると経験しました。特に、原薬の製造方法変更に関する課題では、法規の解釈において意見が対立しましたが、担当官に相談することで解決策を見出しました。この経験から、問題を決めつけずに相談することの重要性を学びました。また、役人の立場を理解し、相談する際には当局が理解可能なストーリーを整理して持参することが求められると感じました。石川氏は、AI翻訳技術を活用したサービスの提案を通じて、業務効率を向上させることを目指しています。
参考訳
Ishikawa, who is in charge of pharmaceutical regulatory affairs, emphasizes the importance of deepening knowledge of GMP. He experienced the significance of building relationships with health centers and prefectural pharmaceutical officials during new drug approval applications. Particularly, in the challenge of changing the manufacturing method of active pharmaceutical ingredients, he found a solution by consulting with officials despite differing opinions on regulatory interpretation. This experience taught him the importance of consulting without preconceived notions. He also realized the need to present a comprehensible story to the authorities when seeking consultation. Ishikawa aims to improve operational efficiency by proposing services utilizing AI translation technology.
自動翻訳からドキュメントにまつわる総合サービスへ
ロゼッタといえば自動翻訳の「T-4OO」が有名ですが、ドキュメント向けソリューションはそれだけではありません。お馴染み、翻訳文に特化した進化を続ける自動翻訳「T-4OO」以外にも、先ほどご紹介した製薬企業に関連する文書に特化した「ラクヤクAI®」、製薬以外の専門文書に特化した「ドキュサポAI-4OO」などもありますが、実はいずれも技術基盤は同じなのです。
メタリアルグループとその中核を担うロゼッタのドキュメントQC関連サービスの進化にご期待ください。
AIの応用で具体的な課題とお持ちであれば、ぜひお問い合わせいただければ幸いです。
ではまた次回お会いしましょう!

株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博
1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。
製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」
「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
製薬事業のあらゆるシーンを効率化する専門文書AIサービスです。
基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
様々な文書の作成・チェック作業を自動化し、圧倒的な業務スピード改善を実現します。

「ラクヤクAI」ご活用シーン(例):
- 治験関連文書やプロモーション資料の自動生成
- 作成資料のクオリティチェックや、資料間の整合性チェック
- 講演内容(資料・音声)の適用外表現モニタリング
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その他、個別カスタマイズが可能な生成AI環境で、
社内の知見を統合的に分析・集約したアウトプットをセキュアな環境をご提供します。