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【Pharma AI Nexgen-製薬AIネクスジェン-】ガイダンスの読解とその延長線上にあるもの

January 07, 2025

  • AI
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こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。

新年明けましておめでとうございます。今年も過去の業務を振り返ったり、未来を思い描いたりしながらコラムを書いていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

※このコラムでは「生成AI」という場合、弊社親会社・株式会社メタリアル社が開発したLLMオーケストレーション・システム「Metareal AI LLM2」のことを指しています。

さて、新年一発目は、生成AIがガイドラインを代表とする専門ドキュメントを深く理解し利用するためにどのように役に立つかをご紹介します。

ガイドラインの翻訳

皆さんは、ICHガイドラインを始めとする種々のガイドラインをご自身で理解のために読み込まれたことはありますか。英語の方が分かりやすい。いや、翻訳が出るまで待つ。色々なスタンスの方がいらっしゃると思います。

私は疑り深い質(たち)であるので、急ぎの場合を除き、自分で原文を見て作成した翻訳以外は公的翻訳も含めて原文と対比するまで信じないようにしています。

ちなみに私には大学生のころに講義の副読本として指定された米国の有機化学と物理化学の翻訳版テキストで理解不能の記述で時間をとられたという苦い経験があります。それ以来、原文が入手可能な場合、翻訳版だけを読んで理解しようと悩むのは時間の無駄であると考えるようになりました。原文購入の追加費用(現在では多くの場合ネット検索時間)を自己負担して訳文の根拠である原文に当たればたちまち解決してしまうからです。

翻訳の難しさ

一方で、自分が読者に提供するための翻訳をしてみると読者が理解できる訳文を作成するのは訳語や表現の統一など大変な苦労があることも承知するようになりました。

同様の大変な苦労は引用文献などを含む論文の作成などにも共通です。製薬企業に必須の申請資料や提出資料の作成も同じです。つまり、翻訳文も論文も申請資料なども全て読者に理解してもらえる文章にしなければならないという点では共通の苦労や悩みがあるということです。

また、翻訳文(論文、申請資料)を作成する際に訳語(用語)や専門知識の記憶に頼るのも記憶違い、用法違いや勘違いのリスクが存在します。ロゼッタにおいて独自の進化を遂げるRAGの技術革新により、根拠文書(例えば、冒頭のガイドライン、添付文書、インタビューフォーム、MBR、過去の他論文など)に基づいて、種々の新たな文書を作成したり、作成済みの文書の確からしさを確認する技術も確立しつつあります。

新たな技術とガイドライン

整合性チェックツール

ガイドラインに関連する新しい技術といえば、「ラクヤクAI®」で提供されている整合性チェックツールの開発の初期段階に参加した際に、「点検文書」(論文、申請資料などを指します)のチャレンジングな記述に対して「根拠文書」(参考文献、根拠資料などを指します)の該当箇所を提案してくれる精度には舌を巻いた記憶があります。

もちろん、記述が妥当であるかどうかはレビューを担う人間が最終判断する必要がありますが、これはすごいと思ったものです。当時、さらなる進化で、当局審査時の照会事項対応にも十分使える精度を確保できる期待が持てる、逆に、審査機関においても照会箇所の選定にも使えるのではという感触を得ました。

さらに、共同開発のアライアンス候補のデューデリジェンス・ツールとしても利用できる可能性を感じました。

ぜひ皆様には、具体的な利用場面でこの整合性チェック・ツールを試してみていただきたいと思っています。皆様の多様な実務で活用いただいたご意見で、生成AI応用のさらなる進化が期待されます。

また、特定の整合性チェック基準がある場合、その基準を盛り込んで生成AIでシステム化すれば、独自の視点に調整した確認ができることで、とても便利になることが期待されるのではないでしょうか。

自動翻訳からドキュメントにまつわる総合サービスへ

ロゼッタといえば自動翻訳の「T-4OO」が有名ですが、ドキュメント向けソリューションはそれだけではありません。お馴染み、翻訳文に特化した進化を続ける自動翻訳「T-4OO」以外にも、先ほどご紹介した製薬企業に関連する文書に特化した「ラクヤクAI®」、製薬以外の専門文書に特化した「ドキュサポAI-4OO」などもありますが、実はいずれも技術基盤は同じなのです。

メタリアルグループとその中核を担うロゼッタのドキュメントQC関連サービスの進化にご期待ください。

AIの応用で具体的な課題とお持ちであれば、ぜひお問い合わせいただければ幸いです。

ではまた次回お会いしましょう!

株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博

1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。

製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」

「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
製薬事業のあらゆるシーンを効率化する専門文書AIサービスです。
基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
様々な文書の作成・チェック作業を自動化し、圧倒的な業務スピード改善を実現します。

「ラクヤクAI」ご活用シーン(例):

  • 治験関連文書やプロモーション資料の自動生成
  • 作成資料のクオリティチェックや、資料間の整合性チェック
  • 講演内容(資料・音声)の適用外表現モニタリング
  • 薬剤情報やナレッジの検索・調査

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