あらゆるビジネスでグローバル化が進む中、海外との契約業務における言語の壁は、多くの企業の法務部門が直面する課題となっています。株式会社ロゼッタは、2,000以上の専門分野に対応したAI翻訳エンジンを搭載する「T-4OO」を展開し、6,000社以上の導入実績を誇ります。
今回は、弊社のAI翻訳事業部法務担当マネージャーの登坂に「AI翻訳による契約業務効率化の可能性」について詳しく話を聞きました。
法務部門における翻訳の課題
――まず、法務部門が直面する「翻訳に関する課題」についてお聞かせください。
基本的に契約書は非常に専門性の高い文書であり、その翻訳には高度な語学力と法務知識が必要です。しかし、翻訳作業自体は業務の本質ではなく、いわば裏方的な作業です。
例えば、海外から契約書を受け取った際、その内容を正確に理解し、自社にとって不利な条項がないかを確認する必要があります。しかし、翻訳作業に時間を取られることで、本来注力すべき契約内容の精査に十分な時間を割けないというケースが多く見られます。
――翻訳作業に時間を取られることで、本来の法務業務に支障が出てしまうのは深刻な問題ですね。最近は無料の翻訳ツールも進化していますが、これらでは対応できないのでしょうか?
無料翻訳ツールは便利ではありますが、二つの大きな課題があります。一つは精度の問題です。概要把握には使えるかもしれませんが、契約書のような専門性の高い文書の正確な翻訳は難しいのが現状です。
もう一つは情報漏洩のリスクです。NDAなどの機密性の高い文書を無料の翻訳ツールに入力することは、コンプライアンスの観点から問題になる可能性があります。
特化型AI翻訳の強み
――確かに、機密性の高い契約書を無料の翻訳ツールに入力するのは大きなリスクになりますね。そうした課題に対して、T-4OOではどのような対策を取られているのでしょうか?
T-4OOの最大の特徴は、2,000以上の専門分野に対応した「特化型AI翻訳エンジン」を搭載している点です。これは一般的な無料翻訳ツールとは大きく異なります。
一般的な翻訳エンジンは汎用的な文章を中心に学習していますが、T-4OOは法務、医薬、金融など、各分野の専門用語や独特の表現に特化した学習を行っています。その結果、プロの翻訳者に匹敵する95%の精度を実現しています。
――プロの翻訳者に匹敵する精度というのは、法務担当者にとって心強い数字ですね。具体的にはどのような分野に対応しているのでしょうか?
法務分野を例にとると、売買契約書、ITライセンス契約、秘密保持契約など、契約の種類ごとに細かく分かれています。ユーザーは翻訳する文書の種類を選択するだけで、その分野に最適化された翻訳結果を得ることができます。
また、企業ごとに独自の用語データベースを構築することも可能です。例えば、自社製品の名称や社内で統一している用語の使い方をAIに学習させることで、より正確な翻訳が可能になります。
実務での活用と効果
――自社製品の名称や社内で統一している用語まで翻訳できるのは、翻訳業務においてかなりの業務負担軽減につながりますね。もうすこし具体的に、T-4OOはどのような場面で活躍できるか教えていただけますか?
最も効果を発揮するのは、大量の文書を短時間で処理する必要がある場合です。人間が翻訳すると1時間以上かかるような文書でも、T-4OOなら数分で処理できます。また、Word、Excel、PowerPoint、PDFなど、様々なファイル形式に対応しており、レイアウトも維持したまま翻訳できます。
ただし、重要なのは「翻訳の自動化」ではなく「翻訳プロセス全体の効率化」という点です。T-4OOを使って翻訳作業を効率化することで、法務担当者が契約内容の精査など、本質的な業務により多くの時間を割けるようにすることを目指しています。
――具体的に、法務部門ではどのような場面で翻訳ニーズが発生するのでしょうか?
特に多いのが、法規制関連の資料や契約書の確認、知的財産関連の文書の翻訳です。例えば、海外企業との契約交渉では、双方の修正要望を反映した契約書の改訂版を何度もやり取りすることがあります。その都度、変更箇所の確認と翻訳が必要になるため、従来は非常に時間のかかる作業でした。
T-4OOを使えば、過去の翻訳データを活用できるため、同じような文言の翻訳を効率的に行うことができます。また、変更履歴の機能と組み合わせることで、修正箇所の特定と翻訳を同時に進めることも可能です。
――翻訳だけでなく、修正箇所の特定も可能なのですね。実際に導入したクライアント企業からは、どのような評価を得ているのでしょうか?
例えば、ある製造業のお客様には「海外拠点とのコミュニケーションが格段にスムーズになった」との評価をいただいています。特に技術文書や製品仕様書の翻訳では、専門用語の正確な翻訳が可能になったことで、意思疎通の品質が大きく向上しているそうです。
また、複数の法務部門のお客様からは、契約書レビューのサイクルが従来の3分の1程度に短縮できたとの声もいただいています。翻訳作業の効率化により「より本質的な契約内容の精査に時間を割けるようになった」というお声をいただいております。
――T-4OOを導入すれば、より本質的な契約内容の精査に注力できるだけでなく、海外拠点とのコミュニケーションにも大きなメリットがあるのですね。ところで、機密性の高い文書を扱ううえで重要となる「セキュリティ面での対策」はどうなっているのでしょうか?
セキュリティについては、当然ながら最重要課題の一つとして取り組んでいます。具体的には、SSLによる通信の暗号化はもちろん、サーバー上のデータを2週間で自動的に削除する仕組みを取り入れることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えています。
また、企業ごとに専用の環境を構築していますので、データの二次利用や外部流出といった心配もありません。NDAの締結も含め、お客様の大切な情報を確実に守る体制を整えています。
実は以前、ある企業様から「無料の翻訳ツールを使用していた時に情報漏洩が起きかけた」というお話を伺ったことがあるんです。特に契約書や技術文書など、機密性の高い文書を扱う場合は、セキュリティ面でも信頼できるツールを選ぶことが重要だと感じていますので、T-4OOでは徹底して対策をしています。
今後の展望
――セキュリティ面での対策がしっかりとされているのであれば、導入企業は安心できますね。最後に、AI翻訳の今後の可能性についてお聞かせください。
昨今、あらゆるビジネスでグローバル化が進む中、契約書をはじめとする法務文書の翻訳ニーズは、今後さらに高まっていくと考えています。特に日本企業の場合、海外展開にあたって言語の壁が大きな課題となっているケースが多く見られます。
私たちは、AI翻訳を「人間の仕事を奪うもの」ではなく、「人間がより本質的な業務に注力するためのツール」として位置付けています。今後も、ユーザーの声に耳を傾けながら、より使いやすく、より高度な支援が可能なツールへと進化させていきたいと考えています。
――昨今、AIツールは「人間の仕事を奪うもの」としてネガティブな印象を持つ方が多いですが、正しい使い方をすれば「人間の最大の味方」になってくれるのですね。T-4OOが広く普及することで、日本企業のグローバル展開がより円滑に進むことを期待しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。
こちらこそ、ご清聴ありがとうございました。T-4OOが皆様の海外展開の一助となれば幸いです。
生成AIによる専門文書の精密な翻訳ソリューション
T-4OOは、LLM (大規模言語モデル) を用いた画期的な翻訳アルゴリズムにより、従来のNMTモデルとの比較で文脈や語調・書き振りをより自然に反映しながら、専門用語や参考文献に基づいた高い翻訳精度を実現。
細分化された2000の分野に対応し、ビジネス・研究開発の専門文書の翻訳など、様々なシーンで活用されてます。
「T-4OO」の機能と特徴
- 専門2000分野・100言語をカバー
- スキャン画像PDFも丸ごと翻訳
- 社内・業界フレーズを自動学習
- Web上でラクラク訳文編集
- その場で解決 電話でサポート
単に文字を翻訳するだけでいいというわけではありません。
T-4OOは、業務フローにこだわった多彩な便利機能で業務効率化を強力にサポートします。