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治験関連業務から考えるプロンプトエンジニアリングとは?製薬業界の生成AI活用方法 

December 29, 2024

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生成AIの活用が進む中、製薬業界では治験関連業務における情報収集や文書作成を効率化する手段として期待されています。生成AIを活用するうえで、より正確で有用な情報を得るために「プロンプトエンジニアリング」を学ぶことは重要です。 
 
本記事では、プロンプトエンジニアリングの基本から、回答の質を高めるコツ、業務効率化への応用方法までを解説します。生成AIを最大限に活用するためのヒントを探り、製薬業界の生産性向上を目指しましょう。 

プロンプトエンジニアリングとは? 

プロンプトエンジニアリングとは、生成AIに対して最適な指示や質問(プロンプト)を設計し、必要な情報や回答を効率的に得るためのスキルや手法を指します。 

生成AIの性能が進化した現在、AIがどのように応答するかは、プロンプトに大きく影響されます。 

とくに製薬業界のように専門性が求められる分野では、適切なプロンプトが作成できなければ、抽象度の高い回答しか得られず、業務の効率化につながりません。 

生成AIの導入が進む今、プロンプトエンジニアングの基礎を身につけておくことをおすすめします。 

プロンプトが結果を左右する理由 

生成AIの回答は、与えられたプロンプトによって大きく変化します。 

同じテーマについて質問しても、曖昧なプロンプトでは表面的な回答しか得られない場合がありますが、具体的で明確なプロンプトを使用すれば、より深い考察や実用的な情報を引き出せます。 

例えば、疾患の基本情報を調べたい場合、下記に悪い例と良い例を紹介します。 
 

【プロンプト 悪い例×】 

【プロンプト 良い例〇】 

このように、生成AIへの指示は具体的かつ詳細な条件が必要です。 プロンプトエンジニアリングは、AIの回答精度を向上させるための必要なスキルなのです。 

効果的なプロンプトの型と事例を紹介 

プロンプトエンジニアリングを効率的に進めるためには、いくつかの「型」を知っておくと役立ちます。本記事では代表的例として、「深津式プロンプト」と「Few-Shotプロンプト」を紹介します。 
これらはあくまで「型」なので、これらをアレンジして業務に最適なプロンプトを検討することが重要です。 

深津式プロンプト 

「深津式プロンプト」は、メディアプラットホームであるnoteのCXO深津貴之さんによって考案されたプロンプトです。下記が深津式プロンプトのフォーマットとなります。 

【深津式プロンプト テンプレート】 

#命令書: 
あなたは、{text}です。 以下の制約条件と入力文をもとに、 最高の結果を出力してください。 
#制約条件: 
文字数は{text} 
{text} 
#入力文:{text} 
#出力文: 

ポイントは、生成AIの役割を明確にし、マークアップ言語を用いて、命令や条件を箇条書きにしていることです。生成AIへの指示を明確にし、より効率的に出力の精度を向上させることを目的としています。 

このプロンプトを臨床試験業務に落とし込むと下記のような例が考えられます。 

【深津式プロンプト 応用例】 

#命令書:あなたは、糖尿病の専門医です。 以下の制約条件と入力文をもとに、 リサーチした結果を出力してください。 
#制約条件: 
最新情報を参考にすること 
文末にエビデンス(参考情報)を示すこと 
#入力文:2型糖尿病の病態生理、診断基準、標準治療について 
#出力文:

Few-Shotプロンプト 

「Few-Shotプロンプト」は、命令を与える際に入力と出力の例をいくつか与えることにより、より望んだ出力が得られるようにするプロンプトです。 
出力結果の方向性が明確である場合に活用しやすいプロンプトでもあります。 

【Few-Shotプロンプト 応用例】 

2型糖尿病の治療法について、メトホルミン、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬の臨床試験データを教えてください。 
 
例 
イメグリミン(TIMES 3試験) 
試験方法:無作為化二重盲検プラセボ対照試験 
対象:インスリン製剤を投与しても効果不十分な2型糖尿病患者215人 
主要評価項目:投与16週間後のHbA1cの変化量 
主要評価項目結果:プラセボ群に対して、Imeglimin投与群で有意なHbA1cの低下(-0.60%、p<0.0001)を認めた 
安全性情報:低血糖の発現率はプラセボ群と同様であり、重度の低血糖は観察されなかった

このように、明確な具体例がある場合に、同様のフォーマットでサンプリングをすることができます。 

正確なAI回答を得るために参考情報も重要 

また、より精度の高い回答を目指すのであれば、参考情報やエビデンスを事前にインプットさせたうえで、質問を投げかけるのも有効な手段です。 
例えば、疾患のガイドラインやICH-GCPなどはPDFをそのまま生成AIにインプットさせれば、治験業務の専門家として質問に答えてくれるでしょう。 

目的は業務の効率化!良いプロンプトを作ることではない 

ここまで、プロンプトエンジニアリングについて紹介しましたが、業務を効率化させる良いプロンプトを設計できるかどうかは、経験が大きく影響してきます。 

もし、生成AI自体にあまり慣れていない人がプロンプト設計を行う場合、ある程度の工数が必要になることを覚悟しましょう。 
逆にプロンプト設計に工数を使うだけ使って、何も得られないこともしばしばあります…。 

製薬業界向け生成AIソリューション「ラクヤクAI」なら、製薬業界に特化した生成AIであり、プロンプト設計をする必要がなく、業務の大幅な効率化を達成できます。 

「ラクヤクAI」はPRTやIBのような治験関連文書からPMDA発出の公的文書までインプット可能なため、複雑なプロンプト設計も必要なく、精度の高い回答が得られます。 
また、企業のニーズに合わせて、課題解決のためのカスタマイズを行ったうえで導入されるため、業務の最適化に直結したソリューションです。 

生成AIの導入を検討するのであれば、「ラクヤクAI」は有効な選択肢と言えるでしょう。 

まとめ 

プロンプトエンジニアリングは、生成AIを活用して治験関連業務を効率化するための重要なスキルです。本記事では、プロンプト設計の基本や型の活用、回答精度を高めるための参考情報の重要性を解説しました。 

ただし、プロンプト作成自体に時間を費やしすぎるリスクもあります。「ラクヤクAI」のような製薬業界に特化した生成AIソリューションを活用すれば、複雑なプロンプト設計を省略し、業務効率化をよりスムーズに実現できます。 

興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

すねお / 医療ライター

臨床検査技師との兼業webライターとして活動を開始。SEO~インタビューまで幅広いコンテンツを作成している。

製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」

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