2024年12月18日、OpenAIはChatGPTの電話対応とWhatsApp連携を発表しました。OpenAIは現在「12 Days of OpenAI」と呼ばれる12営業日連続の新機能紹介イベントを実施中で、今回の発表はその10日目のものです。
米国では固定電話からChatGPTを利用できるようになり、世界中のユーザーはWhatsAppを通じてChatGPTとチャットが可能になります(ログイン不要)。インターネット環境がなくてもAIを活用できる画期的なサービスで、AIとのコミュニケーションがより身近になるでしょう。
本記事では「12 Days of OpenAI」10日目の発表の概要や、活用シーンなどを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
「12 Days of OpenAI」とは
OpenAIは2024年12月5日から、12営業日連続で新機能や新製品を発表する「12 Days of OpenAI」を開催しています。クリスマスソング「12 Days of Christmas」にちなんで名付けられた企画で、CEOのサム・アルトマン氏自らがライブ配信で新機能を紹介しています(サム・アルトマン氏は毎回出演するわけではありません)。
Day9までの発表内容は以下のとおりです。
- Day1:最新モデル「o1」正式リリースとChatGPT Pro(月額200ドル)発表
- Day2:強化学習型ファインチューニング機能の実装
- Day3:動画生成AI「Sora」の正式リリース
- Day4:Canvas機能の全ユーザー開放と機能強化
- Day5:Apple製品との完全統合を発表。iPhoneやMac、iPadでSiriを通じてChatGPTを利用可能に
- Day6:Advanced Voice Modeにビデオ機能を追加
- Day7:Projects機能の追加。チャットの整理とカスタマイズが可能に
- Day8:検索機能の大幅強化。リアルタイムの情報へのアクセスを改善
- Day9:開発者向け機能の強化。アプリケーション開発がより簡単に
12 Days of OpenAI:Day10の発表内容
ChatGPTが電話に対応
米国内のユーザーは、専用の電話番号「1-800-CHATGPT」(1-800-242-8478)に電話をかけることで、ChatGPTと音声で会話できるようになりました(現時点では米国のみ)。最新のスマートフォンだけでなく、古いフィーチャーフォンや固定電話からも利用可能です。
利用にはOpenAIのアカウントやアプリのインストールは不要で、月に15分間の無料通話が可能。通常の通話料金のみで利用でき、インターネット接続も必要ありません。
音声会話では、質問への回答や一般的な会話など、基本的なChatGPTの音声アシスタント機能を利用できます。電話越しの会話は自然な対話形式で行われ、途中で話を遮ったり、話題を変えたりすることも可能です。
ChatGPTがWhatsAppと連携
WhatsAppとは、Meta(旧Facebook)が提供する世界で最も利用されているメッセージアプリです。電話番号があれば無料で利用でき、世界で20億人以上のユーザーが日常的に使用しています。
OpenAIは、WhatsAppを通じてChatGPTと会話できる機能を世界中のユーザーに提供開始しました。利用方法は簡単で、WhatsAppで「1-800-242-8478」に向けてメッセージを送信するだけです。
現在はテキストベースの会話のみに対応していますが、将来的には画像認識機能やウェブ検索機能などが追加される可能性もあります。また、OpenAIアカウントとの連携機能も開発中で、実装後はより高度な機能も利用可能になるでしょう。
1日の利用には制限が設けられており、制限に近づくとWhatsApp上で通知されます。基本的な使い方は通常のWhatsAppでのチャットと同じで、ChatGPTに対してテキストで質問や相談などを行えます。
新しい活用シーンとは
電話対応とWhatsApp連携により、さまざまな場面でのAI活用が期待できます。
まず、インターネット環境が不安定な地域での情報アクセス手段として活用可能です。また、高齢者など、スマートフォンやパソコンの操作に不慣れな方でも、慣れ親しんだ固定電話で気軽にAIを利用できるでしょう。
WhatsAppを通じた利用では、情報収集としての活用などが見込まれます。モバイルアプリ版のChatGPTを利用しているユーザーであれば、WhatsAppを利用する機会は少ないかもしれませんが、ログイン不要で利用できるため、アカウントを所持していない人は重宝する機能といえるでしょう。
OpenAIの狙いとは
OpenAIのケビン・ウェイル製品責任者は、AIを「人類全体にとって有益なものにする」という使命を掲げています。電話やWhatsAppでの利用を可能にすることで、より多くの人々がAIにアクセスできる環境を整えることが主な目的です。
特に注目すべき点は、インターネット環境や最新デバイスの有無に関係なく、誰もがAIを活用できる仕組みを構築している点です。技術の恩恵を受けられる人と受けられない人の格差(デジタルデバイド)を解消する取り組みともいえるでしょう。
また、WhatsAppの20億人以上のユーザー基盤を活用することで、ChatGPTの利用者を大幅に拡大できる可能性も秘めているため「新規ユーザーの獲得」という目的も垣間見えます。
筆者自身、固定電話からChatGPTに直接アクセスできる機能は想定外でした。最先端のデバイスに抵抗がある方は多いですが、通話機能をよく利用するユーザーは多いです。AIへ気軽に電話できるとなれば、多くの人々にChatGPTが定着するかもしれません。
まとめ
OpenAIによる電話対応とWhatsApp連携は、AIをより身近な存在にする画期的な一歩といえるでしょう。インターネット環境や最新デバイスの有無に関係なく「誰もが利用できる」という特徴は、AIの民主化に向けた重要な一歩といえます。
今回発表された機能は米国での提供が先行していますが、やがて世界中のユーザーが電話でAIを活用できるようになるでしょう。今後の機能拡張や、日本を含む他の国々でのサービス展開にも期待が高まります。
AIメディアライター・植田遊馬
Webライター歴4年目。ChatGPTの登場で生成AIの可能性に衝撃を受け「生成AIオタク」に。さまざまな生成AIを駆使しながらライター業を営む傍ら「多くの人に生成AIの魅力を伝えたい!」という想いで、生成AI系メディアでの記事執筆を行っている。
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