AI自動翻訳のパイオニア企業として知られる株式会社ロゼッタ(以下、ロゼッタ)が展開する「T-4OO」は、様々な分野の専門用語や社内用語、略語に対応できる性能の高さと強靭なセキュリティが高く評価され、約6000の企業・団体で採用されています。
この「T-4OO」、上手に活用すれば海外進出を目論むB2B製造業にとって大きな武器になります。今回はこのAI自動翻訳ツールの特徴と強み、活用法についてロゼッタMT事業部の鷲頭均(わしずひとし)さんにお話をうかがいました。
株式会社ロゼッタ・MT事業部・鷲頭 均
株式会社ロゼッタにて法人営業統括を務める。医薬品業界や大企業向けに、AI翻訳ソリューション「T-4OO」や会議音声翻訳ツール「オンヤク」の提案を行う。顧客企業のグローバル化や技術開発を支援すべく、最速・最適・最短の提案を重視。全社導入案件の増加に伴い、顧客の事業成長への貢献を使命としている。
※このインタビューは2022年5月のものです。現在は生成AI翻訳メニューが搭載されております。
海外進出の成否は情報収集の量と精度で決まる
――今日はロゼッタが開発したAI自動翻訳ツール「T-4OO」についてお聞きしたいのですが、その前にロゼッタがどのようなことをしている会社なのか教えていただけますか?
鷲頭:ロゼッタは10年以上前に翻訳会社としてスタートしたのですが、現在は翻訳に限らずグローバルなナレッジシェアやグローバルなコミュニケーションのサポートを行っています。これからお話しする「T-4OO」のようなAIによる自動翻訳ツールをご提供するだけでなく、たとえば外国籍の方が多く働く建設の現場でのコミュニケーションをサポートするために、話した内容が翻訳されてレンズに表示されるメガネ型の翻訳ツールなどを、建設会社様と協力して開発したりもしています。
――コミュニケーションをサポートするというソリューションについてよくわかる事例ですね。AIによる自動翻訳を行う「T-4OO」ですが、こちらはどのようなものなのでしょうか?
鷲頭:弊社のソリューションには大きく分けて、文章翻訳と音声翻訳の2種類があります。今日お話しさせていただく「T-4OO」と「T-4OO Lite」は、そのうちの文章翻訳を担うツールとなります。
――「T-4OO」と「T-4OO Lite」は、B2B製造業の企業の業務にどのように貢献しうるものですか?
鷲頭:B2B製造業の企業様の中には海外進出を考えている企業、あるいはすでにもう進出されている企業様が多くいらっしゃるかと思いますが、商習慣や法規制などは国によって違いますから、それぞれのエリアに事業を展開していくには、その地域についての膨大な情報を、できるだけ速く正確に収集するのが成功のカギになります。
――現地の商習慣を知らなかったばかりにトラブルになった事例を私もいくつか聞いたことがあります。
鷲頭:そうなんです。海外での売上が60%を占める、消費財を扱っているとある企業様の事例なのですが、世界の各地に事業を展開するために、その地域の人に実際に会ってみて、どんな商品をどう広めていけば貢献できるのかを知るために、徹底的に情報を集めたうえで商品開発を行なっているそうです。
その企業の方がおっしゃっていたのですが、海外に進出するためには重要なポイントが3つあるそうです。1つは、「どこに展開するのか」。2つ目が「どうやって現地に適合していくのか」で、現地に適した事業の運営方法を定めていくプロセスです。そして3つ目が「現地に適合するように商品を開発する」で、これは現地生産現地開発で進めていくそうです。
お気づきかと思いますが、いずれの段階も情報収集がカギになるんですよね。進出先を決めるのでも情報収集が必要ですし、現地での事業運営方法を決めるのも現地の情報が不可欠です。そして現地にあった商品を作るためには、ネーミングやブランディングも含めて現地の人にフィットするものにしないといけません。
「T-4OO」はB2B製造業の海外進出のすべての過程で活躍する
――確かに、3段階いずれも大量の情報を集める必要がありますね。しかも、ネット検索で調べられるものではなく、現地の「生の声」が肝心といいますか。
鷲頭:ただ、そのために現地の文章を読んだり、現地の人とコミュニケーションをとるというのを人力で行うとなると、できる人が限られるじゃないですか。特に文章となるとそれこそ膨大な量をチェックしないといけません。通常の文章だけでなく現地の法規制や契約書といった専門性の高い文書を読む必要もありますしね。
こうした場面で、大量の文書をすばやく翻訳できる「T-4OO Lite」や、専門性の高い文書の翻訳に強みがある「T-4OO」を活用していただいているという事例があります。こうした海外進出の際の情報収集をまだ人力で行なっているという企業様がありましたら、ぜひこうした機械翻訳に注目していただきたいです。
――進出する時だけでなく、進出した後も現地の方とのコミュニケーションは続きますしね。
鷲頭:これはその通りで、製造業の企業様ですと商品や製品をリニューアル・モデルチェンジすることもあるかと思いますが、その度に取扱説明書や利用説明書も作り直さないといけないわけです。これはかなり手間がかかる作業ですが「T-4OO」を使うことで楽になるはずです。実際に6000以上の企業・団体様にご利用いただいている製品なので、安心して使っていただけるかと思います。
「各企業専用のデータベース」×「最強の専門用語データベース」で高精度の翻訳が可能に
――さまざまな機械翻訳ツールがあるなかで、「T-4OO」の強みはどんな点にありますか?
鷲頭:それは「T-4OO(ティーフォーオーオー)」という製品名の中に隠されています。実は「Transformation for 御社オンリー」の略なんです。この名前の通り、「T-4OO」は私たちが各企業様専用のデータベースを用意させていただいて、その専用データベースにその企業様がよく使う社内用語ですとか製品名やサービス名、略語を登録する仕組みになっています。
また、ロゼッタは2000分野に細分化された専門用語のデータベースを持っています。企業様専用のデータベースとこちらの専門用語データベースの2つを使うことで、精度の高い翻訳ができるようになっています。
――各企業特有の用語と分野ごとの専門用語の2つが網羅されているとなると、確かに翻訳の精度は変わってくるでしょうね。
鷲頭:翻訳ツールには大きく分けると「汎用型」と「専門型」の2つがありまして、たとえば社内の簡単なメール文書や海外のニュースを翻訳するときに便利なのが「汎用型」で、代表的なのがGoogleやMicrosoftが提供している無料の翻訳ツールになります。
一方で、海外に進出するために現地の法規制を勉強しないといけない、契約書を読まないといけないといった時に、汎用型の翻訳ツールにかけてもきちんとした翻訳結果が出てこなかったりするんです。こちらは無料の汎用型翻訳ツールと「T-4OO」で行なった翻訳を比べたものなのですが、翻訳結果がかなり違うのがおわかりかと思います。
――汎用型翻訳ツールの翻訳結果はかなり不自然な日本語になっていますね。「T-4OO」の翻訳の方が断然読みやすいです。
鷲頭:どうしてこんなに差が出るのかという理由が、先ほどお話しした2000分野の専門用語データベースなんです。たとえば特許系の資料だったり契約書には独特の言い回しや言葉遣いがあって、汎用性のツールではなかなか自然な訳が出てきません。
一方でこのデータベースには契約書なら契約書の、規制資料なら規制資料の対訳データが入っていますから、翻訳したい文書にあったジャンルを選んでいただけば、専門的な文書であってもスムーズな翻訳結果が出てきます。
――具体的にどのような分野があるのでしょうか?
鷲頭:全体が「医薬・化学・環境」「IT・機械・電気電子」「ビジネス専門」「人文・社会」「一般・趣味・娯楽」の5つに分類されていて、それぞれがさらに細かく枝分かれしています。契約書であれば、「ビジネス専門」の中に「契約書」についてのデータベースがあります。契約書でも種類によってさまざまなデータベースがあります。
――ジャンルごとにさらに細分化されたデータベースがあるのは心強いですね。実際の使い方についてもお聞きしたいのですが、たとえばワードファイルの文書を丸ごと翻訳したい時、そのファイルを開いてコピーして貼り付けるといった手順になりますか?
鷲頭:もちろんそれもできるのですが、ワードやエクセル、パワーポイント、あるいはPDFなど、ファイルをそのままアップロードして読み込ませることができます。しかも、翻訳結果をそのファイル形式のままダウンロードすることもできます。これも「T-4OO」と「T-4OO Lite」の強みです。
また、Web翻訳機能もあって、こちらは翻訳したいページのURLを入力すると、そのページの訳が出てきます。翻訳したいテキストをコピーして貼り付ける「テキスト翻訳」とファイルを読み込ませる「ファイル翻訳」、URLを入力する「WEB翻訳」の3つの機能があるのも特徴です。
――ただ、PDFの場合、スキャン画像だったりもしますよね。
鷲頭:画像の粗さにもよるのですが、文章をコピーアンドペーストできないタイプのPDFであっても「ファイル翻訳」機能で翻訳可能です。画像が粗い場合は文字に誤りが出るケースもありますが、その場合は修正して使っていただくという形ですね。
万全のセキュリティで海外進出をサポート
――上手に使いこなせれば、海外進出にまつわるコミュニケーションや情報収集については「T-4OO」と「T-4OO Lite」で大部分が対応できそうです。何言語に対応しているのでしょうか? また、「テキスト翻訳機能」の場合、一度に何文字くらい翻訳できますか?
鷲頭:「T-4OO」は約100言語、「T-4OO Lite」の方は英語と中国語の2言語に対応しています。また文字数ですが日本語の場合は一度に200,000文字まで翻訳できます。英語と中国語の場合は文字数ではなくワード数で換算して100,000ワードまで一度に翻訳可能です。あくまで一度に翻訳できる長さですので、長い文章は小分けにして翻訳していただくのがいいかと思います。
――ありがとうございます。利用環境は特に制限はないのでしょうか?
鷲頭:そうですね。日本の「T-4OO」のサーバーにアクセスできる環境であればご利用いただけます。実際にタイやベトナム、インドネシア、アメリカやヨーロッパからご利用いただいている企業様もいますしね。
――海外での利用というところで、最後にセキュリティについても教えていただけますか?
鷲頭:もちろん、誰でもアクセスできるデータベースではなくて、ユーザーIDとパスワードを持っている人だけが「T-4OO」の環境に入ることができます。
また、翻訳する際は、文章がいったん暗号化されたうえで各企業様専用のサーバーに送られますので、情報漏洩のリスクは低減されています。
――高精度の翻訳を安心して使えるのが「T-4OO」、「T-4OO Lite」の強みということですね!今日はお忙しいところお話をお聞かせいただきありがとうございました。
生成AIによる専門文書の精密な翻訳ソリューション
T-4OOは、LLM (大規模言語モデル) を用いた画期的な翻訳アルゴリズムにより、従来のNMTモデルとの比較で文脈や語調・書き振りをより自然に反映しながら、専門用語や参考文献に基づいた高い翻訳精度を実現。
細分化された2000の分野に対応し、ビジネス・研究開発の専門文書の翻訳など、様々なシーンで活用されてます。
「T-4OO」の機能と特徴
- 専門2000分野・100言語をカバー
- スキャン画像PDFも丸ごと翻訳
- 社内・業界フレーズを自動学習
- Web上でラクラク訳文編集
- その場で解決 電話でサポート
単に文字を翻訳するだけでいいというわけではありません。
T-4OOは、業務フローにこだわった多彩な便利機能で業務効率化を強力にサポートします。