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2025年4月東証プライム市場の英文開示義務化をチャンスに変える

December 26, 2024

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この記事では、2024年2月26日東京証券取引所が発表した「英文開示義務化」と、企業が英文開示に取り組むメリットについてご紹介いたします。

「義務化」と聞くと大変なコストがかかることが想定されますが、これをチャンスに変えて自社の競争力を上げることも可能です。英語による即時開示も可能になるツールもご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。

東証が2025年4月からプライム市場で英文開示を義務化

2024年2月26日、東京証券取引所はプライム市場の企業に対して、決算情報や適時開示情報の英文開示を2025年4月から義務付けると発表しました。
これまでも英文開示に関してはたびたび話題に上がっており、2019年には当時の東証1部企業の絞り込みに際して英文開示の義務化についても言及をしていましたが、いよいよ義務化が目前に迫ってきた形です。

参考:“東証1部企業数絞り込み、3割減も 英文開示も義務化” 日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42496720V10C19A3I00000

義務化の目的は海外からの投資を促進するため

前述の通り義務化に関しての方針が打ち出されてから数年が経ちますが、適時開示資料の英文開示率はプライム市場でも50%程度に留まる一方、 海外投資家へのアンケート調査からは、開示タイミングや内容に関する和文開示との格差、また中小企業の対応が進まないことへの根強い不満が伺えます

海外投資家にとっては英文開示が和文開示から遅れるほど、投資の機会を失うことになります。裏を返せば、英文開示をしない、あるいは和文開示から遅れての開示になることで、企業の側も貴重な投資資金を失うことになってしまうとも言えます。

義務化される文書

今回義務化される文書は決算短信や四半期決算短信、決算補足説資料などの決算情報と随時開示情報であり、有価証券報告書や株主総会招集通知などは義務化されていません。しかし、義務化されていない資料に関しても東証は継続検討課題としており、大企業の中にはすでに英文化を行っている、検討している企業も存在しています。

英文開示の義務化に合わせて早期に動き出すことが重要と言えます。

義務化される文書義務化ではない文書
◾️決算情報
 決算短信(通期)
 四半期決算短信(四半期ごと)
 決算補足説明資料(スライド資料)

◾️適時開示情報
 重要な開示情報
◾️その他
 有価証券報告書(企業情報や経営状況)
 株式総会招集通知
 統合報告書(財務情報+非財務情報)
 コーポレートガバナンス報告書
 サステナビリティレポート

IR情報英文開示の現状

英文開示企業はプライム市場の30%にとどまる

現在プライム市場の上場企業は約1,600社ありますが、日英同時開示を今回義務化される資料の全てについて行なっている企業は約30%にとどまっています。残りの約1,100社に関しては和文開示に遅れて英文開示を行なっている、あるいは英文開示を行なっていないというのが現状です。
すでに同時開示が行われている企業では、和文文書の翻訳が社内翻訳・外注翻訳によらず開示数日前には行われ、決算発表のタイミングで日英同開示を行なっているようです。

一方、同時開示が行われていない企業では開示数日前に日本語版が完成し、決算発表のタイミングではまず日本語版が開示されます。その後英文開示を行う場合は翻訳会社や社内での翻訳が行われ、開示数日後に英語版を開示するというパターンが多くなっています。
これが2025年4月に義務化されるとなると、まず、現在英文開示を行なっていない企業は新たに対応を迫られることとなります。また、現在数日遅れて開示をしている企業も、投資家の視点を考えれば開示を早める必要が出てきます。さらに、日本語版がある程度出来上がってから作業を行っていた外注の翻訳会社やIR支援会社も、これまでのビジネスモデルが崩れ対応が必要になるでしょう。

IR担当者の負担増、属人化の現状も

これら英文開示義務化の対応を担うのは各企業のIR担当者となります。しかし、現在のIR担当部署の現状は厳しく、リソース不足や属人化に悩んでいるようです。

ある企業の事例をご紹介しましょう。

IR室は1〜2名体制、和文開示から2、3日で翻訳文書の公開をしなければならないため、現在は適時開示、決算短信、決算説明資料に限定している状態。今後は英文開示範囲を決算説明の議事録や有価証券報告書にまで拡大していきたいが、時間もリソースも限られている。

義務化となれば多くの企業が英文開示を行うため、同時開示や開示資料の拡大により優位性を維持したいが、どのように効率化すれば良いかということで悩む企業は多そうです。

外注翻訳会社との煩雑なやりとり

英文への翻訳を社内で行わず、外部の翻訳会社に依頼する場合にも現状多くの課題があります。決算に関する文書は膨大なため、英文開示に際して実際は和文のドラフトの段階で翻訳会社にすでにデータを渡して翻訳作業を進めます。そして和文に修正が入り次第翻訳会社に連絡をし、英文も修正するという作業を繰り返すことになります。これらの連絡や依頼作業は大変煩雑で、IR担当者の悩みの種でもあります。

AIの力で翻訳を効率化、同時開示を可能に

今回英文開示が義務化される決算関連資料は、決まった形式の文書が多いためAIの力で翻訳作業を効率化できる可能性があります。

決算資料専用の翻訳エンジンが作成できる自動翻訳機「T-4OO」

株式会社ロゼッタが提供する自動翻訳AI「T-4OO」では、貴社の参考訳や過去訳をたった1ページ与えることで専用の翻訳エンジンを作成し、微妙な表現まで再現するAI翻訳サービスです。決算関連資料は決まった表現が多いので、これまで作成された資料を参考訳例とすれば高い精度の翻訳を短時間で行うことが可能です。

英文への翻訳を社内で行なっている場合は、T-400によって大幅に翻訳工数が削減でき、日英同時開示も可能になります。

自動翻訳AIは翻訳会社やIR支援会社でも有用

また、翻訳会社やIR支援会社の立場で見た場合にも「T-4OO」の活用で、翻訳スピードの向上や業務効率化を実現でき、顧客の日英同時開示ニーズによりコミットすることが可能になるでしょう

まとめ

ここまで2024年2月26日東京証券取引所が発表した、2025年の「英文開示義務化」と、企業が英文開示に取り組むメリットについてご紹介してまいりました。

英文開示が義務となると「やらなければならない」という負担やコストの面に焦点が当てられがちですが、自動翻訳AIや翻訳支援ツールなどを効果的に利用すれば翻訳コストを大幅に削減でき、IR担当者の負担も軽減されます。

また、効率的に翻訳作業を行い英文開示を和文開示と同じタイミングで行うことで、海外の投資家にとってのメリットは増大し、投資資金を呼び込めるようになり、企業の競争力そのものが上がることにもなるでしょう。
義務化が目前に迫り、各企業が動き出している今だからこそ早期に対策を取ることが重要になります。

ロゼッタの親会社となる、東証グロース上場(2024年現在)の株式会社メタリアルでも、ロゼッタの提供する自動翻訳T-4OOやを使用し、2020年以降決算短信の日英同時開示を行っています。 企業ごとの言いまわしが多く、定型的な文書はカスタマイズ機能を提供する弊社の自動翻訳と相性抜群です。英文開示の効率化をお考えの方は、ぜひ弊社までご相談ください。

参考URL
株式会社メタリアル IR情報ページ
https://www.metareal.jp/ir/library/result.html

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