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AIの開発・利活用に関する施策は?実用化に向けた方針や製薬業界における生成AIの活用方針を解説します

December 25, 2024

  • AI
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厚生労働省の「AIの開発・利活用に関連する施策」では、AIの利用促進や実用化に向けた施策が示されています。

本記事では、上記施策の中でとくにAIに関連のある内容をピックアップし、解説します。今後AIを利活用し、事業展開を検討している方は参考にしてください。

電子カルテ情報などの標準化

AIに関連する電子カルテ情報などの標準化の概要や具体的な施策を解説します。

AIとの関連性

近年、AI技術がさまざまな領域で利活用されています。この過程で、AIが進化し続けるためには、専門的な機械学習が必要でした。

機械学習の核となるのが、分析結果や予測結果が付与されたビッグデータです。医薬品や医療機器の開発をするためには、医療現場から得られる患者のビッグデータ(リアルワールドデータ)が必要です。

しかし、生のビッグデータを一つの医療機関から収集するには数が少なく、十分な量のデータは得られません。

ビッグデータを効率的に収集するためには、電子カルテやレセプトデータ、医療画像システムや検査システムなどを介して複数の施設から情報をインプットする必要があります。

しかし、ここで問題になるのが、データ形式の標準化です。複数の施設から吸い上げたデータは、同一のデータ記述方法・形式に変換する必要がありますが、実現するためには相当量の費用や工数が発生します。

施策の概要

ビッグデータの収集を効率化し、リアルワールドデータを得るための一環として効果が期待できるのが、電子カルテ情報などの標準化です。

医療機関同士でスムーズなデータ交換・共有や患者の紹介などを実現させるために、HL7 FHIRを標準規格とする試みです。

厚生労働省では、2022年3月に以下の3文書6情報を厚生労働省標準規格として採択しています。

  • 3文書:退院時サマリー、診療情報提供書、健診結果報告書
  • 6情報:感染症情報、アレルギー情報、傷病名、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報

上記にともない、今後は小規模の医療機関向けに、標準規格に準拠したクラウドベースの標準型電子カルテの開発が検討され始めました。

2024年中に、システムベンダ向けの連携テストが開始され、2025年4月頃には診療所(有床診療所を除く)を対象に試行運用が予定されています。

医療情報の安全管理・サイバーセキュリティ

AIに関連する医療情報の安全管理・サイバーセキュリティの概要や具体的な施策を解説します。

AIとの関連性

AIを活用することでサイバー攻撃のリスク検出や分析などにつながることから、さまざまな組織のセキュリティ対策として実用化されているのが現状です。たとえば、膨大なビッグデータの中から異常な動作を検出し、セキュリティインシデントへの時間を短縮することが可能です。

一方で、その実用性や利便性の高さによって、悪意ある者からサイバー攻撃を受けるリスクが起こります。

起こりうるサイバー攻撃のおもな種類は以下のとおりです。

  • DoS・DDoS攻撃:ターゲットのサーバーが処理できないレベルのアクセスを集中させ、ユーザーがアクセスしにくい状況を作るサイバー攻撃
  • 標的型攻撃:特定の組織や団体をターゲットに仕掛けるサイバー攻撃
  • ランサムウェア:ウイルスを感染させたうえでデータ所有者の情報を暗号化し、復元と引き換えに金銭を要求するサイバー攻撃

上記のようなサイバー攻撃により、利用者の氏名や住所などの個人情報が流出し、大きな損害を受ける企業が発生しています。

施策の概要

医療情報の安全管理・サイバーセキュリティ対策の一環で改定されたのが、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版です。

ガイドラインのおもな内容は以下のとおりです。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版概要おもな内容
外部委託、外部サービスの利用に関する整理クラウドサービスの特徴を踏まえたリスクや対策の考え方 ・医療機関等のシステム類型別に対応した責任等の整理など
情報セキュリティに関する考え方の整理ネットワーク境界防御型思考/ゼロトラストネットワーク型思考 ・災害、サイバー攻撃、システム障害などの非常時に対する対応や対策 ・本人確認を要する場面での運用(eKYCの活用) など
新技術、制度・規格の変更への対応オンライン資格確認の導入に必要なネットワーク機器等の安全管理措置 ・新たなネットワーク技術(ローカル5G)の利用可能性、利用場面 ・医療情報の共有・提供に関連する法令などの規定や技術・規格の動向

プログラム医療機器(SaMD)の開発・市場投入の促進

AIに関連するプログラム医療機器(SaMD)の開発・市場投入の促進の概要や具体的な施策を解説します。

AIとの関連性

近年、AIの技術的進歩にともなう機械学習によって、医療機器の実用化が期待されています。

AI技術を用いた医療機器への対応については、医薬品医療機器法に基づいた安全性や有効性の確保が必要です。とくに、医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断または治療に用いるための指標や画像、グラフなどを作成するプログラムをプログラム医療機器(SaMD)と定義しています。

施策の概要

厚生労働省は、プログラム医療機器の実用化を促進するため、「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略」を策定しました。

おもなモデルの内容は以下のとおりです。

プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略の概要詳細
萌芽的シーズの早期把握と審査の考え方 の公表【萌芽的シーズの早期把握】
プログラム医療機器に関する国内外の状況調査を実施 PMDAとも連携。
【特性を踏まえた審査の考え方の整理・公表】
国立衛研で具体的評価指標作成。PMDAとも連携
相談窓口の一元化【相談の一元的対応】
プログラム医療機器の実用化に関し、相談を一元的に受け付ける窓口を置き、以下の各種相談の連携強化を図る。 ①該当性相談 ②開発相談 ③医療保険相談
【相談事例を可能な限り整理・公表】
プログラム医療機器の特性を踏まえた審査制度【特性を踏まえた効率的審査の実施】
海外データ・先進医療データの活用、品質管理体制の事前確認制度創設などをおこなう
【変更計画確認手続制度(IDATEN)の活用】
承認後のバージョンアップなどに迅速に対応
【革新的プログラム医療機器指定制度の検討】
優先相談・審査や事前評価の充実、審査パートナー制度による審査期間短縮
早期実用化のための体制強化などPMDAの専門的な審査部門の新設と厚生労働省内の体制強化、薬食審の専門調査会新設や産学官連携フォーラムの設置、承認事例公開DBの充実化など

ラクヤクAIで業務効率化・人件費削減へ

近年AIは、製薬業界が抱える課題解決や業務効率化が図れる点から注目されています。

製薬業界向け生成AIソリューション「ラクヤクAI」は、過去の大量のビッグデータから入力をおこない、社内の創薬における文書・資料の自動生成や、薬剤情報・ナレッジの検索を丁寧にサポートします。

また、完成した資料における整合性の判断をおこなうことで、人的ミスを未然に防ぎ、業務効率化につなげることが可能です。

さまざまな治験関連文書 ・ 薬剤プロモーション資材の作成などが円滑に進むため、創薬のために発生する時間や大規模なコストの削減が期待できます。

ラクヤクAIを活用し、創薬事業で生じる時間を短縮し、業務効率化や人件費削減にご活用ください。

ますます期待されるAIの実用化に向けて

AIの実用化を実現するためには、ビッグデータを効率的に収集し、分析・利活用することが重要です。

しかし、データを活用する際に問題視されるのが、データ形式の標準化やセキュリティ対策、情報の安全性や有効性の担保です。

上記を解決するために、電子カルテ情報の標準化や医療情報の安全管理・サイバーセキュリティ対策、プログラム医療機器(SaMD)における製品開発・市場投入の促進などが進んでいます。

今後、AIを事業展開のためのツールとするために、上記の施策を活用していきましょう。

医療ライターゆし

大手医療機器メーカー(東証プライム市場上場)にて10年間営業職を経験したのち、現在は医療専門Webライターとして活動中。大手医療系オウンドメディアや医療機関のホームページなどで多くの医療SEO記事・症例/疾患記事・取材記事・LP制作に携わっている。

製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」

「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
製薬事業のあらゆるシーンを効率化する専門文書AIサービスです。
基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
様々な文書の作成・チェック作業を自動化し、圧倒的な業務スピード改善を実現します。

「ラクヤクAI」ご活用シーン(例):

  • 治験関連文書やプロモーション資料の自動生成
  • 作成資料のクオリティチェックや、資料間の整合性チェック
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