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AI創薬の現状と課題は?製薬業で生成AIを活用するメリットや活用事例を解説します

December 11, 2024

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近年、DXやAIを活用した創薬事業が注目されています。AIを利用することで、従来発生していた研究に要する時間や費用の短縮が期待できます。

また、研究員の業務効率化にも貢献できるでしょう。
本記事では、AI創薬の現状や課題、製薬業で生成AIを活用するメリットや活用事例を解説します。今後AIを活用した創薬事業を展開予定の方は参考にしてください。

AI創薬とは

AI創薬とは、医薬品開発の過程でAIを活用した創薬です。AIの利点である大量のデータを分析・処理する能力を活用することで、研究者の業務負荷が軽減できます。

また、研究開発コストや開発期間の短縮も期待できるのが特徴です。近年では、リード化合物の探索や最適化、ターゲット選定などで応用できるようになっています。

創薬のプロセスでは、病気の原因を知るために、ターゲット選定をおこなう必要があります。そのうえで問題の有無を確かめるために、リード化合物や最適化を実施し、治験や動物実験を踏まえたチェックが必要です。

承認申請と審査が下りると、医薬品として販売できるようになります。医薬品開発に要する期間としては10年以上かかります。また、研究開発に要する費用としては、数百億〜数千億円が必要です。

創薬の課題

創薬をする際には以下の課題が挙げられます。おもな内容は以下のとおりです。

データの収集・活用方法の確立

現在の日本では、個人情報保護の観点から、患者情報の活用が十分になされていません。今後、データを収集し、有効活用するためには「暗号技術を用いたデータベース秘匿検索」の技術を確立することが重要です。

また「匿名加工」を利用し、プライバシー保護がなされた状態で患者情報を取り扱う体制をつくることが大切です。

今後、患者情報の漏洩リスクを減らすために、国として法整備を進めていくことが求められます。

新薬の開発費用や開発期間の増加

新薬開発にかかる費用や期間は、年々増加しています。これには、新薬開発の成功率が減少していることが要因です。

厚生労働省の「医薬品開発におけるAIの活用について」によると、2000〜2004年における承認取得(自社)の新薬開発の成功率は、12,888分の1でした。一方で、2015〜2019年における成功率は、22,749分の1という結果が示されています。

新薬の開発費用や開発期間の増加の背景には、創薬標的が複雑な疾患に移行している点が関係しているとされています。

情報フォーマットの標準化

創薬にあたっては、膨大な数のデータと質の確保が必要です。しかし、現状では企業間のデータ利用環境が整備されていないため、情報が不足する可能性があるでしょう。

創薬に必要な情報をインプットするためには、情報フォーマットを標準化することが重要です。国で定められたガイドラインに基づいた形式に整備することで、より効率的な情報収集を図りましょう。

創薬に貢献できる人材の確保

創薬を進めるためには、医学や薬学、生物学や科学といった領域における知識に精通した人材の確保が求められます。とくにニューラルネットワークや機械学習モデルを理解し、専門的なツールを活用できるスキルが重要です。

必要な人材の職種としては、課題に応じたデータ収集・解析ができるデータアナリストや、機械学習モデルを実装するエンジニアが必要となります。

上記の要件に合致する人材を確保するために、人材採用を強化することが求められます。

創薬のためのリソースの確保

創薬のためには、データの加工や保管、システム開発など、さまざまな工程が必要になります。そのため、創薬プロセスを成立させるためには、各作業に見合ったリソースの確保が重要です。

自社だけではリソースが確保できない場合は、ITベンダーへ協力要請をおこない、サポートしてもらう必要があるでしょう。

AI創薬のメリット

AI創薬のメリットは以下のとおりです。これからAIを活用した創薬を検討している方は参考にしてください。

創薬開発の成功率向上

厚生労働省の「創薬における人工知能応用」によると、創薬AIを活用した開発成功率は、25,000分の1から約2,500分の1になるとされています。

創薬に必要なビッグデータをAIに学習させることで、遺伝子やたんぱく質に対して適切な候補化合物の設計が可能です。

また、膨大な情報を活用し、疾患の原因をより正確に明らかにすることが期待できます。また、創薬の工程で危険になりうる要素を把握しやすくなるため、開発成功率の向上に貢献できるでしょう。

創薬開発の期間と費用の削減

AIを活用した創薬により、開発成功率が向上するため、開発期間や費用の短縮が期待できます。

また、研究開発の過程で必要な臨床試験や承認申請などの業務が効率化されることも開発期間や費用の短縮につなげることが可能です。

厚生労働省の「創薬における人工知能応用」によると、AIを活用した創薬によって、開発期間は4年短縮され、業界全体で1,2兆円の削減効果が見込まれるとされています。

創薬研究員の業務効率化

創薬にあたっては、膨大な数を保有する論文データベースから情報を精査するため、相当量の作業時間が必要です。多種多様なデータを有効活用し、仮説を立てたり、創薬ターゲットを選定しなければなりません。

AIを活用することで、このような過程における業務効率を向上させられるため、スタッフの負荷軽減につながります。

人材不足のカバーや働き方改革のサポートへの活用も期待できるでしょう。

AI創薬の事例

AIを活用した創薬の事例をご紹介します。おもな事例は以下のとおりです。

名古屋大学と製薬企業の共同研究による胃酸抑制剤の開発

株式会社理論創薬研究所、株式会社インテージヘルスケア、大型放射光施設Spring-8と名古屋大学は、AI創薬プラットフォームの「Deep Quartet」を活用し、胃プロトンポンプに作用する胃酸抑制剤の候補化合物の創薬を実現しました。

AIを活用し、新しい化学骨格をもつ候補化合物を作成し、解析・改良の結果、従来の薬よりプロトンポンプ阻害活性が強い加工物の生成に成功しています。

アメリカのベンチャー企業「Insilico Medicine」による臨床試験への応用

アメリカのベンチャー企業「Insilico Medicine」は、AIを活用し、世界で初めて人を対象に臨床試験をおこなったことで注目されました。

AIを活用し、特発性肺線維症(IPF)の進行や発症に関するたんぱく質などを発見し、その作用を抑制する候補化合物を作成しています。

イギリスのベンチャー企業「Exscientia」による臨床試験への応用

イギリスのベンチャー企業「Exscientia」は、製薬会社の大日本住友製薬(現:住友ファーマ株式会社)との共同研究によって作成した候補化合物DSP-1181の臨床試験を開始しました。

AIを活用して創薬された候補化合物のなかで、世界で初めて臨床試験がなされた薬剤として注目されました。

ラクヤクAIで業務効率の向上へ

製薬業におけるドキュメント周りの作業効率化を図るために、AIを社内に導入することを検討しつつも、一歩踏み出せない方がいるのではないでしょうか。大規模なデータを扱うなかで、対処方法に困っているケースもあるでしょう。

株式会社メタリアルが提供する生成AIソリューション「ラクヤクAI」は、膨大な情報資源から精度の高いインプットをおこない、創薬における文書・資料の自動生成や、薬剤情報・ナレッジの検索を迅速にサポートします。

また、完成した資料の整合性チェックをおこなうことで、ヒューマンエラーの問題を解決し、業務効率化につなげることが可能です。

これまでに発生していたデータの収集や活用がスムーズに進行するため、創薬のために発生する時間やコストの削減が期待できます。

ラクヤクAIを活用し、創薬に発生する時間を短縮し、業務効率の向上にお役立てください。

AI創薬の活用で時間と費用の削減へ

創薬事業の現場では、時間や労力、開発費用がかかる点が課題とされてきました。一方で、AI創薬を活用すると、創薬開発の成功率が向上し、従来発生していた時間や費用を削減することが可能です。

また、開発の過程で発生する業務を効率化させることも期待できます。創薬事業を展開する際は、AIを活用し、研究に要する時間や費用を削減し、効率化を図りましょう。

医療ライターゆし

大手医療機器メーカー(東証プライム市場上場)にて10年間営業職を経験したのち、現在は医療専門Webライターとして活動中。大手医療系オウンドメディアや医療機関のホームページなどで多くの医療SEO記事・症例/疾患記事・取材記事・LP制作に携わっている。

製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」

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