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金融業界で広がる、ライフプランニングにおける生成AI活用の可能性 

December 20, 2024

  • AI
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これからの生活について考え、より理想の人生を歩むための資金計画などについて検討する「ライフプランニング」。従来はファイナンシャル・プランナー(以下、FP)や金融機関の担当者などと二人三脚でライフプランを立て、それに必要な貯蓄や投資などを行うのが一般的でした。 

しかし昨今はテクノロジーの進化に伴う生成AIの活用・利用も模索され、実際に生成AIを活用した関連サービスもリリースされ、注目を集めています。そこで今回は、ライフプランニングにおけるAI活用の可能性について見ていきます。 

今後を見据えたライフプランニングの重要性 

ライフプランニングとは、希望の人生を実現するための計画である「ライフプラン」を時系列に沿って描くことです。結婚や出産、住宅購入など、人生で実現したいライフイベントとその際に必要となる資金を具体的に想定し、ライフプランを作成していきます。 

「車がほしい」「結婚したら子どもは2人ほしい」など、希望のライフイベントを実現するためには、一定のお金が必要です。早期にライフプランニングを行うことで、いつまでに・どうやって・いくらの資金を準備する必要があるのかを“見える化”し、将来・未来の見通しを良くすることができます。 

とくに現在は「人生100年時代」と呼ばれ、“長生きリスク”に備える必要もあります。もちろん当初描いたライフプラン通りに人生が進まないケースも少なくありません。しかしその際もライフプランを適宜見直すことで、より希望に沿った人生を歩める可能性が高くなることでしょう。 

従来のライフプランニングに関する課題 

このように自身がより納得できる人生を歩むために、ライフプランニングは非常に重要です。一方で、FPや金融機関の担当者などがライフプランを設計する“従来のライフプランニング”には、いくつかの課題があるのもまた事実です。 

担当者の意向や知識がライフプランニングに影響する 

FPや金融機関の営業担当者などの“人間”に相談してライフプランを作成すると、その担当者の知識や考え方がライフプランニングにどうしても影響しがちです。 

こうした知識や考え方が良い方向に作用すれば問題ないのですが、場合によっては、担当者が得意とする領域や参照している調査などの情報と、相談者が重視する領域のミスマッチが起こるなどして、有効なライフプランニングができないケースも起こり得ます。 

例えば、ある相談者は生涯独身と決めていて、老後まで不安なく過ごせるような生活を続けたいと思っていたとします。しかしその相談を受けた担当者が「結婚して所帯を持つこと」を前提にライフプランニングを行うのに慣れているあまり、独身者の生活に関するリスクや必要な資産額を具体的に提案できなかった場合、相談者はその内容に不満を感じてしまうかもしれません。 

納得感の少ない金融商品を勧められる可能性がある 

金融商品を積極的に売り込むような担当者がライフプランニングを実施した場合、相談者は納得感の少ない商品を強く勧められる可能性があります。相談者としては「商品の押し売りをされている」と、その状況に精神的な負担を感じることでしょう。 

また、担当者との相性が合わないと判断して担当者の変更を依頼した場合にも、再度同じような説明を行う手間や時間がかかってしまいます。 

ライフプランニングにおけるAIや生成AIの活用法 

こうした“人間”ならではの課題を解決できる可能性を秘めているのが、AIや生成AIです。すでに生成AIなどを活用したサービスが登場していますので、その内容や活用法について紹介しましょう。 

生成AIによるライフプランニングへのアドバイス 

まず、生成AIにライフプランニングについて相談できるツールが登場しています。例えば「25歳の女性です。これから結婚して子どもは1人欲しいです。お金はいくら必要でしょうか」のように、ライフプランに関するプロンプト(指示文)を入力すれば、生成AIから一般的な内容の回答を受けられます。 

生成AIの回答は必ずしも的確だとは言えませんが、FPや金融機関の担当者などは違う客観的な回答が返ってくる期待も持てます。一定の参考になるかもしれません。 

AIによるライフプランの自動作成 

ライフプラン自体をAIに自動で作成してもらえるサービスもあります。相談者はWeb上で質問に答えることで、AIから最適なライフプランが提案されます。さらにその提案を基に、自身でプランの修正を行い、より有効で効果的なライフプランを作り上げることも可能です。 

ライフプランを一から作成するのではなく、ある程度の土台をAIに作ってもらうことで、自身の知識だけでは反映できなかった観点や情報をライフプランに反映できる可能性があります。 

「四季報AI」による個別商品や知識面でのサポート 

ライフプランの作成にあたり、資産運用の検討は欠かせません。そして、資産運用の検討にあたって重要なのは、企業業績や業界動向といった「投資情報」です。では、投資情報はどこで収集すればよいのでしょうか。 

その疑問に応えるツールのひとつが「四季報AI」です。四季報AIは東洋経済新報社が投資家向けに提供する「会社四季報オンライン」上のデータを情報源とし、銘柄分析を対話形式でサポートします。「秋からの株式市場で注意することは?」「〇〇社の特徴は?」など、気になる質問を投げかけることで、証券会社の担当者なども頼りにしている、会社四季報オンラインの情報を基にした回答をもらうことができます。 

四季報AIを活用して資産運用に関する知識を培うことで、別途検索する手間を省き、より現実的なライフプランを作成できる可能性があるほか、仮にFPや金融機関の担当者から株式投資を提案された際にも、その提案内容や具体的な銘柄について、より正確に検討できるでしょう。 

ライフプランニングは「生成AI+人間」のハイブリッドがベスト? 

これまで見てきた通り、現在はAIや生成AIにライフプラン作りをサポートしてもらう時代に入りつつあります。しかしAI単体ではFPや金融機関の担当者のように、実体験に基づいた知見や経験をライフプランに反映させることは難しいでしょう。 

そのため今後のライフプランニングにおいては、生成AIと担当者、その両方の力を活用して対応することが求められるのではないでしょうか。 

例えば、FPや金融機関の担当者が顧客のライフプランを立てるとき、生成AIにライフプランのたたき台を作ってもらったり、必要な資金額を速やかに計算してもらったりすることで、よりスピーディーかつ適切なライフプランニングを行える可能性が高まります。こうした迅速さや適切さが、顧客の満足度をさらに高めるでしょう。 

こうしたハイブリッドなライフプランニングを実現するためには、自社の業務に適したAIツールを導入することによる業務変革や、日々AIを使ってお互いに学習を深めていくことが重要になると考えられます。 

まとめ 

将来まで考えを巡らせ、理想の人生を送るための計画を立てるライフプランニングでは、すでにAIや生成AIの活用が進んでいます。今後はますます生成AIを使ったツールのリリースが進むかもしれません。 

また、今後は生成AIを“相棒”として、スピーディーかつ的確にライフプランニングを行えるようになる可能性があります。生成AIを賢く使い、真に顧客のためになるライフプランニングを行っていくとよいでしょう。 

ライター名:加茂 歩

証券会社・求人広告会社を経て、2019年よりフリーライターになる。投資・資産運用に関する金融記事のほか、求人広告会社時代に人事採用担当者へ数多くの取材をしてきた経験から、インタビュー記事も執筆している(編集:株式会社となりの編プロ)

四季報データをAI解析、投資判断を効率化する革新的ツール「四季報AI」

「四季報AI」は、東洋経済新報社の「会社四季報オンライン」をはじめとする記事・データを出典として、証券会社や株主はもちろん、投資家や市場調査担当者などを対象に、株式市場での企業分析をサポートする対話形式のツールです。
東洋経済新報社と提携し、「四季報AI」へのAPI接続提供を開始。四季報AIの膨大な企業情報と市場情報のAIによる分析結果を利用可能になりました。

「四季報AI」の特徴

  • 「四季報AI」は、LLMを活用した高度なデータ解析により、株式投資、企業研究に関するユーザーの質問に対して多面的な回答を導き出します。
  • 「四季報AI」は、「会社四季報オンライン」をはじめとする東洋経済のメディアに掲載されている情報を主な参照元にしています。参照元を明示することで、情報の信頼性が高まり、また、詳細な情報の検索がしやすくなります。
  • 「四季報AI」では今後も、チューニングによる応答の改善やより良いモデルの検討を含め、ご利用状況に対応しながら精度の向上などを行ってまいります。
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