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金融機関向けAI・DX領域のソリューションが続々登場。金融DXや生成AI活用はなぜ必要? 

December 24, 2024

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企業がテクノロジーを用いてその競争力を持続させるためのAI活用やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性は、さまざまな業界・業種で語られています。もちろん金融機関も例外ではなく、AIや生成AIなどを利用した金融機関向けのソリューションが続々とリリースされている状態です。 

では、具体的にどのようなソリューションが登場しており、生成AIに関してはどのような活用法があるのでしょうか。AI活用や「金融DX」が必要な理由と併せて解説していきます。 

金融領域におけるAI活用やDXの必要性 

そもそも金融領域・分野ではなぜAI活用やDXが必要なのでしょうか。その主な目的や理由を3つ解説します。 

レガシーシステムに起因する「2025年の崖」への対応 

「2025年の崖」とは、もし日本国内企業のDXが進まなければ、2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるという問題のこと。日本のDX推進の足を引っ張っている大きな原因はレガシーシステムの存在です。現に2018年に公表された経済産業省のレポートでは「約7割の企業がレガシーシステムがDXの足かせと感じている」というアンケート結果が紹介されています。 

特に金融機関の内部システムは事業の専門性が高いことも影響し、レガシーシステムが多い傾向にあります。他の業界と比較しても金融業界は、レガシーシステムからの脱却やシステムの整備、そして「2025年の崖」対策が大きな課題急務だと言えるでしょう。 

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省 

オンラインビジネスへの対応 

元来、店舗や顧客宅などでの対面ビジネスが主流だった金融業界ですが、近年はネット銀行やネット証券などオンラインに特化した金融機関が登場しています。また今後デジタルネイティブ世代が増えていくことから、店舗中心のビジネスを展開している金融機関についても、オンラインサービスの導入などの変革を余儀なくされることでしょう。事実、近年はネットバンキングを中心とする非対面サービスの導入を進めている金融機関が増えています。 

オンラインビジネスに対応するということは、既存の社内業務にもデジタル技術のメスが入るということ。オンラインビジネスの拡大により、今後多くの企業では既存業務をDX化する必要性が一層増していくことでしょう。 

人材不足への対策 

労働人口の減少に伴い、比較的多くの従業員を抱える金融機関においても人材不足の波が押し寄せています。 

人材不足対策の筆頭として挙げられるのが「業務の効率化」「生産性の向上」です。事実、昨今はAIチャットボットや不正検知など、さまざまな領域でAIや生成AIを取り入れ、業務の効率化を図る金融機関が増えています。 

金融機関には未だに紙文化が根強く残っており、業務効率化やコスト削減の余地は多く残されていると言えます。人材不足対策としての、“AI活用による”業務の効率化は、金融機関においてより大きなインパクトをもたらすと考えられます。 

金融機関で検討できる生成AIの活用法 

金融機関で生成AIを活用するのであれば、どのような使い方が考えられるでしょうか。金融機関で検討できそうな生成AI活用例を5つ紹介します。 

日常業務における文書作成に生成AIを活用 

会議記録や社内書類、営業時の補足資料の作成など、日常的に行っている文書作成業務と生成AIの相性は抜群です。金融機関では、融資審査における稟議書や業務マニュアルなどの作成に生成AIを活用できるでしょう。 

社員教育に必要な教育コンテンツの作成 

社員教育に必要な教育コンテンツの作成にも生成AIは有効です。例えば、生成AIにどのような研修・セミナーが有効なのかアイデアや改善策を求めたり、スライド資料に掲載する画像を生成してもらったりすることができます。 

顧客からの問い合わせ対応への支援 

生成AIは顧客からの問い合わせ対応にも活用が可能です。例えば、オペレーターがゼロから回答文を作成する代わりに、生成AIに応対文の素案を作成してもらうことで、オペレーターは「内容理解→回答検討→推敲→最終文面作成」という顧客対応プロセスを、「推敲→最終文面作成」に短縮することができます。結果的に問い合わせ対応の効率が大幅に向上し、業務負担も削減できるするでしょう。 

ファイナンシャルプランニング業務のサポート 

様々なお金の相談に応えるファイナンシャルプランニング(FP)業務においても、生成AIは力を発揮します。 

【FP業務における生成AI活用例】 

  • 顧客に生成AIからの質問に答えてもらうことで、資産運用ニーズを顕在化させる 
  • 顧客情報や商品情報などを入力して生成AIに提案内容を考えてもらい、FP自身の知見とを組み合わせて最適な提案を行う 

上記のような活用を実践すれば、FP業務の効率化および提案内容の最適化を図ることができるでしょう。 

生成AIを用いたリスク管理の効率化 

生成AIは、リスク管理やコンプライアンス対策といった“守りの領域”でも活用し得ます。例えば、社員の内部不正行為のモニタリング業務について、生成AIを用いて検知を行うサービスがすでに登場しています。また、金融商品などに関する新たな規制が設けられる際には、生成AIでその影響をシミュレーションすることも可能です。 

なお、不正検知における(生成)AI活用事例は以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 

関連記事:金融業界での不正取引を防げ!AIや生成AIを活用した取り組み 

金融向けDXソリューションの活用例 

続いて、金融機関のDX化を推し進める金融向けDXソリューションの活用例を紹介します。 

クラウド型システムの導入 

メガバンクなど大手金融機関では、オンプレミス型で開発したシステムをクラウド化する動きが進んでいます。例えば、ソニー銀行では管理会計やリスク管理といった銀行業務周辺系システムや一般社内業務システムをクラウド化しています。 

金融機関の業務の性格上、オンプレミス型のシステムを使わなければならない領域もありますが、そうでない領域についてはデータ連携・活用が得意なクラウド化を進めることで、DXを推進させることができるでしょう。 

IoTによる投資基準の設定 

モノとインターネットをつなぐ「IoT(Internet of Things)」を活用して投資基準を設定するケースも見受けられます。 

例えば、車に取り付けたセンサーからリアルタイムで運転データを取得し、運転者ごとの事故リスク分析結果から保険料を算出する新しいIoT活用サービスも生まれています。同サービスのように、IoTを用いることで、投資基準の最適化を目指すことが可能です。 

生体認証の活用 

身体の一部で個人の特定および認証を行う技術「生体認証」も金融機関のDX化に寄与します。生体認証技術の活用は金融機関で広く進んでおり、例えば多くの金融機関では口座開設やアプリへのログイン時の本人確認に生体認証を導入しています。 

生体認証の活用は、人間の目や手を使った本人確認よりも効率的なのはもちろん、第三者のなりすましを防ぐ効果もあります。 

「四季報AI」の導入 

金融機関における研修・人材育成のDX化に資するツールが「四季報AI」です。四季報AIは東洋経済新報社の「会社四季報オンライン」の記事・データを主な出典として、銘柄分析をサポートする対話形式のツールです。 

例えば、証券会社の四季報AI活用法として、従来は集合研修や個別指導で行っていた業界動向や株価の変動、市場トレンドに関するレクチャーを、四季報AIに代替してもらう方法が考えられます。また企業情報や業界動向などを研修資料に盛り込みたい場合にも、四季報AIのアウトプットが役に立つでしょう。 

このように、金融機関における四季報AIの活用法は多様であり、企業のDXを推進するツールとしての役割が期待されています。 

まとめ 

金融機関は「2025年の壁」への対応や人材不足への対策などの背景に、DX推進が待ったなしの状況です。DX推進の手法はさまざまですが、生成AIの活用は効果的なアプローチのひとつと言えます。生成AIを上手に使うことで、ドキュメントや教育コンテンツの作成、顧客問い合わせなど、さまざまな業務の効率化を図ることができます。今後の「金融DX」において、生成AIは重要な役割を果たすことでしょう。 

ライター名:加茂 歩

証券会社・求人広告会社を経て、2019年よりフリーライターになる。投資・資産運用に関する金融記事のほか、求人広告会社時代に人事採用担当者へ数多くの取材をしてきた経験から、インタビュー記事も執筆している(編集:株式会社となりの編プロ)

四季報データをAI解析、投資判断を効率化する革新的ツール「四季報AI」

「四季報AI」は、東洋経済新報社の「会社四季報オンライン」をはじめとする記事・データを出典として、証券会社や株主はもちろん、投資家や市場調査担当者などを対象に、株式市場での企業分析をサポートする対話形式のツールです。
東洋経済新報社と提携し、「四季報AI」へのAPI接続提供を開始。四季報AIの膨大な企業情報と市場情報のAIによる分析結果を利用可能になりました。

「四季報AI」の特徴

  • 「四季報AI」は、LLMを活用した高度なデータ解析により、株式投資、企業研究に関するユーザーの質問に対して多面的な回答を導き出します。
  • 「四季報AI」は、「会社四季報オンライン」をはじめとする東洋経済のメディアに掲載されている情報を主な参照元にしています。参照元を明示することで、情報の信頼性が高まり、また、詳細な情報の検索がしやすくなります。
  • 「四季報AI」では今後も、チューニングによる応答の改善やより良いモデルの検討を含め、ご利用状況に対応しながら精度の向上などを行ってまいります。
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