TOP ナレッジ ゲーム開発×生成AIの今。さらなる面白さを呼ぶ「キャラクター翻訳」の可能性 

knowledgeナレッジ

ゲーム開発×生成AIの今。さらなる面白さを呼ぶ「キャラクター翻訳」の可能性 

December 31, 2024

  • AI
  • Share

生成AIの進化は、キャラクターデザインや地形生成、ストーリーのパーソナライズなど、ゲーム開発のあらゆる側面に革新をもたらしています。 

本記事では、効率化と創造性を両立し、ゲーム体験をより深く魅力的にするゲーム開発の「今」と、生成AIがもたらす未来への変革について解説します。また、言語や文化の壁を越え、ゲームの面白さをさらに高める「キャラクター翻訳」の可能性にも注目します。  

ゲーム開発で進む、生成AIの活用

近年、生成AIの進化は目覚ましく、私たちの日常生活にも浸透しつつあります。音声アシスタントや画像生成ツールなど、さまざまな場面でその恩恵を受ける機会が増え、ゲーム開発の分野でも生成AIの活用が大きな注目を集めています。 

従来、ゲーム開発には膨大なリソースが必要です。例えばキャラクターデザイン、背景アート、ストーリー作成、さらにはゲームプレイのバランス調整など、多岐にわたる作業を高い精度で実行する必要がありました。 

生成AIの導入は、このような時間のかかるプロセスを効率化し、ゲームクリエイターがそれまで実現できなかった新しい可能性を切り開く原動力となっています。 

SteamがAI活用ゲームを公式認可 

ゲーム配信プラットフォームSteamでは、生成AIを使用したゲームがこれまで一部制限されていると解釈されてきました。 

しかし2024年1月、Steamが生成AIを活用して制作されたゲームの登録を公式に認める方針を発表しました。AI技術を活用した独創的なゲームが、市場に広く展開される道が開かれたのです。 

参考:Steam上のAIコンテンツについて|Steam 

この決定の背景には、生成AI技術の進化が挙げられます。AIが生成したコンテンツには、著作権やオリジナリティに対する懸念が依然として残りますが、これらの課題に対応する技術やガイドラインが整備されつつあると言えるでしょう。 

ゲーム開発での生成AI活用事例 

 ここでは、実際にゲーム開発に生成AIが活用されている事例についてご紹介します。 

キャラクターデザインへの生成AI活用 

生成AIを活用して、ゲームのキャラクターデザインを効率化する取り組みを進めている企業があります。物語性の高いロールプレイングゲームの制作においては、膨大な数のキャラクターを短期間で開発する必要があり、生成AIを活用したデザインプロセスが導入されました。 

具体的には、画像生成AIを用いてキャラクターの初期デザイン案を生成し、高画質化ツールを活用してディテールを補完。その後、デザイナーが手を加えて完成度を高める方法が採用されています。 

キャラクターの性格や背景に関わる設定構築にはChatGPTが使用され、物語の整合性を保ちながらキャラクターに深みを持たせています。さらに、コーディング補助ツールとして複数のAIツールを活用し、ゲームの実装における作業効率を飛躍的に向上させています。 

このプロセスにより、従来は数週間はかかっていたキャラクター案の作成が数日で完了するようになり、クリエイターが物語の構築や世界観の精密化など、より創造的な作業に集中できる環境が整えられました。 

さらに、AIの学習データには企業独自のスタイルや過去の成功作が反映されており、ブランドの一貫性を保ちながら新しいデザインを生み出すことが可能となっています。 

地形やサウンドのプロシージャル生成 

プロシージャル生成とは、プログラムによるアルゴリズムを用いて、自動的にコンテンツを生成する技術です。ゲーム開発では特に、広大なマップや多様なサウンドの作成において、その効率性と柔軟性が重宝されています。 

特にオープンワールドゲームの開発では、膨大なリソースを要する地形作成が課題でしたが、生成AIの導入により、これまで人手では不可能だった規模と複雑さを表現することが可能になりました。 

例えば、リアルな自然環境を生成できるAIツールを使用した、カスタマイズ可能なマップ作成技術などが注目されています。また、複数のコーディング補助ツールを活用することで、複雑な地形生成アルゴリズムを効率的に実装することも可能です。 

さらに、サウンドデザインの分野でも生成AIは革新をもたらしています。AIが環境音や効果音をリアルタイムで生成し、プレイヤーの行動や状況に応じて動的に変化させることで、より没入感の高いゲーム体験を実現します。 

生成AIが作成したサウンドと地形データとを連動させれば、雪山では風の音が強調され、密林では鳥や昆虫の音が響くなど、ゲーム世界の一貫性とリアリティを大幅に向上できるのです。 

ユーザー体験のパーソナライズ 

 生成AIの進化によって、ゲーム内のユーザー体験を個々のプレイヤーに合わせてパーソナライズできる可能性も大きく広がっています。パーソナライズとは、プレイヤーの行動、選択、嗜好に基づいて、ゲームの内容をリアルタイムで最適化する技術です。 

例えば、生成AIのChatGPTを活用することで、プレイヤーの行動データを基にキャラクターの会話内容やクエストの内容を動的に変化させることが可能です。これにより、キャラクター同士の対話やストーリーがプレイヤーの選択に応じて進行し、より個別性の高い物語体験が提供できます。 

また、強化学習技術を使えば、プレイヤーのプレイスタイルに応じて敵の強さや配置がリアルタイムで調整され、ゲーム全体のバランスを保ちながら、最適な挑戦が提供できます。 

こうした技術により、プレイヤーは常に自分だけのオリジナルな体験を得られるため、没入感を深められます。 

生成AIの活用が発表されている『Red Ram』 

『Red Ram』は、生成AIの活用によって革新的なゲーム開発を実現することを目指した体験型推理ゲームです。従来の制作手法では難しかった柔軟性と効率性の両立を追求しており、生成AIがさまざまな開発プロセスに導入されています。 

特に注目されるのは、ストーリーやキャラクター設定における生成AIの役割です。膨大なバックグラウンドストーリーやキャラクター同士の会話がAIによって動的に生成される仕組みによって、プレイヤーごとに異なる物語体験を提供できます。プレイヤーは、従来の「固定された物語」を超えた、自分だけのユニークなストーリーを楽しむことが可能です。 

また、広大なゲームワールドの地形や建物の配置、細部のデザインでは、生成AIによるプロシージャル生成が活用されています。この技術を導入することで、開発時間が大幅に短縮されるだけでなく、手作業では実現困難だったリアルで没入感のある広大な世界観が構築できました。 

『Red Ram』の開発は、生成AIを活用して効率性と創造性を両立させた好例として注目されています。このような取り組みは、ゲーム開発の可能性を大きく広げるだけでなく、未来のゲーム体験に新たな地平を切り開くものと言えるでしょう。 

生成AIのキャラクター翻訳によって広がるゲームの可能性 

これからのゲーム業界では、生成AIを活用した新しいタイトルが続々と登場すると予想されています。 

一方で、競争が激化する中にあって、ただ魅力的なゲームを制作するだけでは不十分です。優れたタイトルがグローバル市場で広く受け入れられるためには、効率的かつ高品質な「キャラクター翻訳」が重要な役割を果たすでしょう。 

キャラクター翻訳とは、ゲーム内キャラクターのセリフや表現を、言語だけでなく文化的背景やニュアンスまで正確に反映させるプロセスです。従来は人手による多大な労力を要していましたが、生成AIの導入によって、大幅な効率化が期待されています。 

生成AIを活用した翻訳ツール「ELLA」 

生成AIを活用した翻訳ツールとして注目されているのが、ELLAです。 

ELLAは、キャラクターの性格やストーリー背景を考慮しつつ、異なる言語や文化に適した翻訳を自動生成します。単なる言語の置き換えではなく、キャラクターごとに異なる口調や個性を忠実に再現することで、プレイヤーの没入感を損なうことなく多言語展開が可能です。 

またELLAは、生成AIによる学習機能を活用して継続的に翻訳精度を向上させる仕組みを備えており、新しい市場へも迅速に対応できます。 

ELLAを活用することで、ゲーム開発者はローカライズ作業の負担を軽減し、より多くのリソースをゲームの品質向上や新しいコンテンツ制作に集中できるようになります。翻訳効率の向上だけでなく、世界中のプレイヤーに愛されるゲームを生み出すための最強のパートナーとして、導入をご検討ください。 

まとめ 

生成AIの進化は、ゲーム開発において効率性と創造性を両立させ、新たな可能性を切り開いています。キャラクターデザインや地形生成、ストーリーのパーソナライズ、キャラクター翻訳など、さまざまな分野でその活用が進んでおり、今後もグローバル展開に大きく貢献していくでしょう。 

特にキャラクター翻訳の分野では、ELLAのような高度な生成AIツールが、ゲームを世界中のプレイヤーに届けるための重要な役割を果たします。生成AIを活用した新しい挑戦で、未来のゲーム市場をリードしていきましょう。 

ライター:水無瀬あずさ

ビールとゲームを愛する現役エンジニア兼ライター。思春期男子2人の育児とPHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆している。プログラミングスキルと生成AIの力でインディーゲーム開発を目指しているが、なかなか時間が取れないのが悩みのタネ(編集:株式会社となりの編プロ)

ゲーム特化型AI翻訳エンジン「ELLA」

キャラクターAI翻訳エンジン「ELLA」は、弊社と株式会社デジタルハーツ様と共同開発した、個性的なキャラクターや文体を保ちながら、高精度な多言語翻訳を実現するAIエンジンです。

ELLAは、自然言語で入力された情報を数値に変換するAIと、数値をもとに文章に個性を与え翻訳するキャラクタージェネレーターAIの2種類のAIをベースに、デジタルハーツ社が長年ゲーム翻訳において培ってきた翻訳ノウハウや株式会社ロゼッタのAI翻訳技術を組み合わせることで、これまでの機械翻訳では困難であった「感情豊かな表現を用いた自動翻訳」を実現いたしました。

■「ELLA」特徴

  • キャラクターになりきった翻訳文生成
  • 関係性に応じた口調の変化
  • 圧倒的スピード及び翻訳コストの抑制
  • Share
一覧へ