2024年11月13日、NVIDIAとソフトバンクが日本におけるAIインフラ構築に向けた提携を発表しました。両社の提携は、世界最大級の演算処理能力を持つAIインフラを国家レベルで整備する世界初の取り組みとなります。
今回の記事では、提携の概要説明や「NVIDIAとソフトバンクが提携をすると何が起こるのか?」という観点で今後の展望などを解説しますので、ぜひ最後まで記事をご覧ください
NVIDIAとソフトバンク提携の詳細
提携の中核となるのは、2025年初めに稼働予定のAIデータセンター。現存する世界最大のスーパーコンピューターの25倍となる25EFLOPS(エクサフロップス:1秒間に100京回の計算が可能な処理能力)を実現するAIデータセンターを稼働させる計画です。
NVIDIAの最新GPU「Blackwell」を搭載したスーパーコンピューターを導入し、ソフトバンクの全国20万カ所の基地局網を活用してさまざまなAIサービスを展開予定。世界最大級の演算処理能力を持つAIデータセンターを、国家レベルのインフラで整備する取り組みは世界初となります。
国家レベルのAIインフラとは?
AIインフラとは、AI技術を活用するために必要な計算資源、通信網、データセンターなどの基盤設備をさします。ソフトバンクとNVIDIAが目指すAIインフラは「AIファクトリー」と「AI RAN」という2つの層で構成されているため、両社の概要を解説します。
AIファクトリー
ソフトバンクとNVIDIAが目指す「AIファクトリー」とは、AIモデルの開発や学習を支えるための高性能データセンターです。先述したとおり、この施設の中核となるのは、NVIDIAの最新GPU「Blackwell」を搭載したスーパーコンピューターです。
高性能データセンターが実現すれば、生成AIや大規模言語モデルの開発が効率的に行えるようになり、日本国内の企業や研究機関に計算資源を提供可能になります。日本の「AI主権」を確立させ、産業競争力を高める基盤として注目されています。
AI RAN
「AI RAN(Artificial Intelligence Radio Access Network)」は、ソフトバンクが実用化を目指しているAIと5G通信を融合した革新的な通信ネットワークです。従来の通信基地局を、データ送受信に加え、AI推論の計算処理を行う拠点として活用します。
NVIDIAの「AI Aerial」プラットフォームを基盤に、未使用の通信容量をAI計算に転用する仕組みを採用し、通信事業者に新たな収益源をもたらす可能性を秘めています。
両社の提携により、AI RANやAIファクトリーなどの国家レベルのインフラが構築されれば、AI時代における日本の技術基盤を大きく進化させる可能性があるといえるでしょう。
今後の展望
提携による効果は、通信産業にとどまらず幅広い分野に及ぶことが予想されます。通信事業者は設備投資コスト1ドルごとに約5ドルのAI推論収益を得られる可能性があり、最大219%の利益率達成が見込まれています。
さらに、自動運転車の遠隔サポートやロボット制御など、実世界でのAI活用も加速すると予測されます。また、研究者や学生、スタートアップ企業向けに計算資源を開放し「ほぼ無償で利用できる」仕組みも検討されており、日本全体のAI開発力向上が期待できます。
現時点では、生成AIなどの分野では海外に遅れを取っている印象の日本。製造業という分野では世界トップクラスの技術を誇る日本ですが、AI技術でも世界最先端の技術力を示せるのか、今後に注目です。
まとめ
今回の記事では、NVIDIAとソフトバンクによる国家レベルのAIインフラ構築について解説しました。世界最大級の演算処理能力と全国規模の通信網を組み合わせた新しいAIインフラは、日本の産業競争力を大きく向上させる可能性を秘めています。
日本でAIインフラが整ってしまえば「AIを活用できない人」は取り残されてしまいます。そうならないように、今のうちからAIについて学習しておき、徐々にAIを使いこなせるようにしておきましょう。
AIメディアライター・植田遊馬
Webライター歴4年目。ChatGPTの登場で生成AIの可能性に衝撃を受け「生成AIオタク」に。さまざまな生成AIを駆使しながらライター業を営む傍ら「多くの人に生成AIの魅力を伝えたい!」という想いで、生成AI系メディアでの記事執筆を行っている。
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