当社では2024年、多種多様な業種251社を対象に「生成AI導入に関する実態調査」を実施。調査結果から、企業における生成AIの導入状況や、導入時に直面する課題、問題点などが明らかになりました。
現在、多くの企業が生成AI導入を検討している一方で、実際の導入プロセスにおいてはさまざまな課題に直面しています。特に導入時のコストやセキュリティ面での懸念、社内教育の在り方など、具体的な課題が浮き彫りとなりました。
本レポートでは、アンケート調査から見えてきた「企業の生成AI導入における課題や問題点」を分析し、効果的な対策について解説していきます。生成AI導入を検討中の企業にとって、導入時に起こり得る課題への対処法を事前に把握する機会となれば幸いです。
生成AI導入に関するアンケートの概要
生成AI導入に関する実態調査として、全国の企業251社を対象にアンケートを実施しました。調査対象は業種を問わず、IT企業から製造業、小売業まで幅広い業種からの回答を得ています。
近年、企業における生成AI導入への関心が高まっています。一方で、生成AI導入の際、各企業が具体的にどのような課題に直面し、どのような懸念点を抱いているのかなど、実態が明らかになっていませんでした。
実態を調査するための調査項目は、以下のとおりです。
- 生成AI導入状況
- 生成AIへの理解度
- 生成AIへ期待すること
- 生成AI導入でもっとも意識していること
- 生成AIに期待している活用法
- 生成AI導入時の不安点
また「生成AIに関する記事コンテンツに期待する内容は何ですか?」という設問では、さまざまな課題が浮き彫りになりました(以下図表参照)。
各企業の生成AI導入状況
アンケートの結果を見ると「すでに導入している」「導入を検討している」企業は半数以上。2022年11月にOpenAIがChatGPTをリリースした際は「生成AIについて懐疑的な声」が多かったものの、近年では生成AI導入に前向きな企業が多いことがわかります。
生成AIの理解度についても「ある一定の理解度がある層」が一番多いことがわかりました(以下図表参照)。
生成AI導入における課題
上記のアンケート結果から、企業が生成AI導入時に直面している課題は、主に以下の3つだということが判明しました。
- コストの問題
- セキュリティの問題
- 人材育成の問題
1.コストの問題
生成AI導入時の最大の懸念点として、コストの問題が挙げられます。アンケート結果を見ると『生成AIの導入に対してもっとも意識していることは何ですか?』という問いに対して「導入コスト/費用対効果」「AIの品質や精度に不安がある」などの回答が一番多かったのです。
生成AIの導入には、初期費用と運用コストの両面で負担が生じます。初期費用としては、ソフトウェアのライセンス購入やハードウェアの導入が必要であり、中小企業にとっては特に大きな負担となるでしょう。
また、クラウドベースのサービスでもプラン次第では高額な運用コストが発生します。運用コストについては、クラウド利用料やシステムメンテナンス、人件費などが継続的に発生し、企業にとって長期的なコスト負担となる可能性があるのです。
2.セキュリティの問題
企業が生成AIを導入する際、コストに続いて「データのプライバシーやセキュリティ」が大きな懸念点となっています。実際に『生成AIの導入に対してもっとも意識していることは何ですか?』という問いに対して、「データのプライバシーやセキュリティ」「法的・倫理的な問題」という回答が多かったです。
実際に生成AIはユーザーのプロンプト(指示内容)が、LLM(大規模言語モデル)の学習に利用されることもあるため、社内の機密情報の取り扱いには注意が必要でしょう。
3.人材育成の問題
生成AIの導入にあたり「社内に必要なスキルが不足している」という懸念点も挙げられます。AIの専門知識を持つ人材が不足している企業では、導入後に技術的な運用やトラブル対応が難しくなる可能性があるといえるでしょう。
また、既存の従業員に対して、AI関連スキルの教育やトレーニングが必要となり、これに伴うコストやリソースも企業にとって大きな負担です。
生成AIをスムーズに導入するには?
アンケートから見えてきた導入時の課題に対する、具体的な解決策をご紹介します。
事前に費用対効果やコストを試算しておく
生成AIの導入を成功させるためには、事前に費用対効果やコストをしっかりと試算しておくことが重要です。導入には、ソフトウェアやライセンスの購入、システムの構築にかかる初期費用だけでなく、運用中の利用料やメンテナンス費用、さらにAIを扱うための人材教育やトレーニングのコストが発生します。
初期費用やランニングコストに対し、AIがもたらす業務効率化や収益向上の効果がどれほど見込めるかを具体的に計算しておきましょう。また、コスト超過を防ぐための予算設定や、ROI(投資対効果)の見積もりを事前に行うことで、スムーズな生成AI導入が可能です。
生成AIへの理解を深める
生成AIを効果的に導入・活用するためには、AI技術への理解を深めることが不可欠です。生成AIは、自然言語処理や画像生成、データ分析など、幅広い分野で活用できる強力なツールですが、その限界やリスクを把握していないと、期待外れの結果を招く可能性があります。
具体的な対策としては、AI技術への教養を深めるために「生成AI関連の検定」を受けてみたり、既存の生成AIサービスを実際に使用してみたりなど、対処法は多岐にわたります。
生成AIサービスの導入を検討している企業は「生成AIの限界とリスク」や「基本的な活用法」など、最低限の教養を身につけてから導入するとよいでしょう。
生成AIの活用事例
ここでは、生成AIを導入している企業がどのような業務効率化を実現しているのかを知るため、活用事例をご紹介します。
文書作成の効率化
生成AIはテキストの生成も得意なので、マニュアルや報告書の作成補助として活用できます。実際に『生成AIの導入にあたり、期待することは何ですか?』という問いに対して「テキストの生成」という回答が圧倒的でした(以下図表参照)。
また、生成するテキストが専門的な分野であっても、AIに該当分野を学習させることで効率化を図れます。
例えば当社では、製薬業界に特化したさまざまな文書を生成できる「ラクヤクAI」というサービスを展開中です。クライアント企業専用の生成AI環境を提供し、文書作成にかかる膨大な時間とリソースを大幅に削減します。
また、クライアント企業のあらゆる文書やデータ、業界の専門文書などを取り込み、文書の自動作成や文書チェック、ナレッジの検索などを可能にするクライアント専用の生成AIシステム「ドキュサポ AI-4OO」も提供しています。
翻訳業務の効率化
生成AIは翻訳業の効率化も可能です。生成AIにさまざまな用語を学習させることで、専門的な分野であっても自然な翻訳が可能となります。
例えば当社ではAI自動翻訳「T-4OO」というサービスを提供しています。クライアント企業の社内用語であっても、自動で翻訳結果に反映できるなど、さまざまな分野の企業に対応。翻訳作業にかかる時間を、大幅に削減できます。
まとめ
生成AI導入にはさまざまな課題がありますが、適切な準備と対策によって大きな効果を得られます。コスト面やセキュリティ面、人材育成といった課題に対して、計画的なアプローチをすることで、大幅な業務効率化を実現できるでしょう。
生成AIの導入を検討している企業は、今のうちから生成AIに触れておき、少しでも教養を身につけておくことをおすすめします。
記事内に出てきた「T-4OO」や「ドキュサポ AI-4OO」、「ラクヤクAI」などに興味があるという方は、お気軽にお問い合わせください。
生成AIによる専門文書の精密な翻訳ソリューション
T-4OOは、LLM (大規模言語モデル) を用いた画期的な翻訳アルゴリズムにより、従来のNMTモデルとの比較で文脈や語調・書き振りをより自然に反映しながら、専門用語や参考文献に基づいた高い翻訳精度を実現。
細分化された2000の分野に対応し、ビジネス・研究開発の専門文書の翻訳など、様々なシーンで活用されてます。
「T-4OO」の機能と特徴
- 専門2000分野・100言語をカバー
- スキャン画像PDFも丸ごと翻訳
- 社内・業界フレーズを自動学習
- Web上でラクラク訳文編集
- その場で解決 電話でサポート
単に文字を翻訳するだけでいいというわけではありません。
T-4OOは、業務フローにこだわった多彩な便利機能で業務効率化を強力にサポートします。