こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。
本日は生成AIを業務に利用することについて考えていきます。
私は現在生成AIを個人的な業務上の助手として重用しています。
「こんなことができないかな」、というときに軽く相談するのにとても便利ですね。
ChatGPTからLLM2へ
2024年6月まで、半年間は私の助手はサブスクリプションのChatGPT Turboでした。しかし、弊社の親会社であるメタリアル社の米倉CTOにより社内開発されたLLMオーケストレーション・システムLLM2(2024年4月社外向け発表済み)がロゼッタ社内向けに提供開始され、私は2024年7月にオフィスアワーに*参加した機会をとらえて、ChatGPT TurboからLLM2に移行しました。
このコラムでは以後、「生成AI」という場合、「LLM2」のことを指しています。
※オフィスアワー:学生がいつでも自由に教授に質問できる時間帯を意味する用語。ここでは、LLM2開発担当者に自由に質問できる指定された時間。
生成AIは超優秀な人の1千倍超のスピード
ところで、私は製薬会社で勤務していた時に超優秀な人(仮にMさんとします)と一緒に仕事をする機会に恵まれました。仮にMさんとの協働の成果物の合格レベルを10とします。
その上で「こんなことができないかな」と問いかけると、Mさんは前提条件の1を説明した場合8~9程度の答えを最速2時間くらいで用意してくれる人でした。チーム全員での最終確認と補足(残り2~1)は成果物の責任者である私が行う必要がありました。
しかし、例えば、当時のMさんを生成AIに置き換えてみたらどうでしょう。
なんと、生成AIはMさんに近い有能さを1000倍のスピード(仮にMさんが2時間かかるとして、生成AIは10秒未満)で発揮してくれます。
まさに打てば響く。これほど楽なことはありません(Mさん、当時は何度も無茶ぶりして申し訳ありませんでした)。
もちろん、社内協力者、同業企業、取引先、規制当局など、多様なステークホルダーが絡む調整が難しい取り組みを、従来の私を含む4名でこなしていたときよりも、Mさんがいたことによって3倍くらいの効率アップになりました(10年かかると推測していた目標地点に3年くらいで到達できました)。
しかし、当時、生成AIがあれば、1000倍のスピードを持つMさんの協力で、もっと早く達成できていた可能性があるということは言えます。
生成AIの業務特化型活用
ところで、読者の皆さんも私のような体験をしたいと思われませんか。
Mさんのような超優秀な人は絶対社員数の多い大企業を除き、大半の組織内では稀です。読者の皆さんが、大企業の中で部下を持つ立場であっても、そのような超優秀な人とタッグを組める機会は私のような平凡な職業人生で、1度くらいです。
しかし、「Mさんと同じような能力の生成AI」ということであれば、そのような天文学的確率の幸運を追い求めなくても、現在の技術では80%から90%の仕上がりで業務特化型の仕組み(エージェント)を構築できます。
汎用タイプの限界と業務特化型の有用性
私は、さまざまな生成AIサービスを試しに使ってきましたが、Open AIのGPTは汎用性がありすぎる点で、一方MicrosoftのCopilotは個人用での汎用性を目指している点で、制約を受けているように感じます。
最近、業務特化型の生成AIシステムとして、「ラクヤクAI」がデビューいたしました。製薬業界または医療機器とその周辺企業の皆様、LLM2の活用でさまざまの具体的課題解決が可能なソリューションです。
まとめ
時代は、汎用ではなく、業務特化へ。製薬分野や医療機器分野に限らず、さまざまな業界でAIの活用は期待できます。AIの応用で課題をお持ちであれば、一度ご相談をされることをお勧めします。
追記
Mさんだけでなく、また、所属していた製薬企業内だけでなく、業界関係者、取引先事業者様にも協力してくださった方々はたくさんいましたのでこの場を借りてお礼を申しあげます。具体的には文書に残しにくい内容なのでわかりにくくて恐縮ですが、ご興味があれば、筆者のWebinarではお話している場面もありますのでぜひそちらも覗いてみてください。
株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博
1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。
製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」
「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
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基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
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