AIにデータ作成やデザイン、文章の校正などを任せることで、資料作成を効率化できます。注意点やデメリットについて把握し、対処しながらAIを資料作成に活用しましょう。
資料作成には、データの整理や文章・表の作成、資料のデザイン作成など多くの手間がかかります。これらの作業はAIにとって得意な作業であり、AIを活用することで効率化を図れます。
当記事では、資料作成でAIを活用するメリット・デメリットを解説します。AIは便利である一方、人間の確認が必要なフローや活用時に注意したいポイントもいくつかあるため、当記事を参考にして、安心して資料作成にAIを活用できるようにしましょう。
1. 資料作成はAIで効率化が可能!
営業資料やプレゼン資料を作成する際にはターゲットを明確化する・構成を検討する・文章を作成するなど、さまざまなステップを踏まなければなりません。しかし、AIに作業の一部を任せれば、資料作成の負担を軽減できます。
AIで資料作成する際には、専用のAIツールを活用する方法が一般的です。AIツールはIT分野の専門知識がない人でも利用でき、チームとしての生産性向上も図れるでしょう。
1-1. AIに任せられる内容は?
AI技術が進化したとは言え、人間の協力が必要な作業も多くあります。高品質な資料を作成するためには、AIに任せられる作業を理解しておきましょう。
以下は、資料作成においてAIに任せられる作業の代表例です。
- データの分析
AIツールを活用すると大量のデータをスピーディーに処理し、必要な情報を抽出したり図表を作成したりすることが可能です。AIはデータの分析作業も得意であるため、資料作成に必要なデータ素材の収集も任せられます。 - 文章作成
AIツールは、資料本文の下書きや見出しも作成してくれます。AIの文章作成スピードは人間の何倍も速く、作業の効率化が可能です。 - デザイン作成
デザインAIが搭載されたAIツールにタイトル・キーワードなどを入力すると自動で資料のデザイン案が生成されます。一部のAIツールでは、資料のレイアウトを調整したりオリジナル画像の作成を任せたりすることも可能です。 - 資料の校正
AIツールに資料の校正を任せると、不自然な日本語表現や誤字脱字を教えてくれます。英語の資料を作成する場合には、AIツールでスペルチェックや翻訳も行えます。
ただし、AIに任せられる作業の内容は、ツールによって異なります。AIツールを導入する際には任せたい作業を明確化し、対応できるツールを選択しましょう。
2. 資料作成をAIで行うメリット・デメリット
AIツールで資料作成することにはメリットが多い反面でデメリットもいくつかあるため、注意しましょう。以下では、資料作成にAIツールを活用する主なメリットとデメリットを紹介します。
2‐1. 資料作成をAIで行うメリット
AIツールを活用して資料作成を行うと、以下3つのメリットが期待されます。
- 業務を効率化できる
AIツールを活用すると資料作成業務の一部を自動化し、効率化を図れます。たとえば、無料の画像素材の検索や画像編集作業は、AIツールによる自動化が可能です。効率化によって時間の余裕ができれば、より資料の品質を高める工夫も行えます。 - データ分析に強い
AIツールを活用すると効率的に大量のデータを分析し、トレンドの把握や将来予測を実施できます。AIツールの分析・予測結果を内容に反映させると、資料の説得力が高まるでしょう。 - 業務の属人化を防止できる
AIツールを有効に活用すれば、デザインスキルや文章スキルに自信がない人も効率的に資料作成を行えます。組織の中で資料作成を担当できる人が増加すると、属人化の防止が可能です。
2‐2. 資料作成をAIで行うデメリット
一方、AIで資料作成することには、以下4つのデメリットがあります。
- セキュリティリスクがある
- コピーコンテンツが含まれるケースもある
- ハルシネーションのチェックが必要になる
- 心を揺さぶる文章を作成できないこともある
資料作成に活用したAIツールがサイバー攻撃を受ければ、入力した情報や作業履歴が漏洩する可能性もあります。セキュリティリスクを軽減するためには、十分な安全対策の取られたツールを活用しましょう。
AIツールのセキュリティリスクは、活用する従業員の過失によって高まるケースもあります。所属する企業にAIツールの利用ルールやガイドラインがある場合には内容をよく読み、十分に注意して活用しましょう。
ハルシネーションとは、AIが幻覚(ハルシネーション)を見たかのように事実と異なる情報を生成する現象を指します。資料の信頼度を高めるためには、AIツールによる出力結果を利用する前に事実確認やコピーチェックを行うことが欠かせません。
また、AI技術が進歩しているとは言っても、人間特有の感情や感性を反映した文章の作成は困難です。顧客の心を揺さぶる営業資料を作成するためには自分自身の感性を生かし、デザインの調整や表現を変更しましょう。
3. AIで資料作成を行うときのポイント
AIツールを活用して作成する資料の品質は、利用する人の指示の出し方に左右されます。また、AIツールで資料作成した後には適切な視点で確認作業を行い、完成度を高めることが必要です。
以下では、AIで資料作成する際に注意したいポイントをより詳しく解説します。
3‐1. 適切なプロンプトを作る
AIツールはプロンプトに沿って、素材の情報収集や文章作成をします。プロンプトとは、AIツールに与える指示や命令文です。AIツールの作業の質を高めるためには以下のポイントを踏まえて、適切なプロンプトを作成しましょう。
・指示や命令を最初に伝える
出典:東京商工会議所「中小企業のための「生成AI」活用入門ガイド」/https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1200434
・前提条件や参考情報は積極的に提供する
・不明瞭な表現を避ける
・出力方法を明示する
プロンプトで前提条件や参考情報を提供する際には、「#(ハッシュタグ)」を活用します。たとえば、プレゼン資料作成をAIツールで行う場合のプロンプトは、以下です。
以下のテーマと条件で、プレゼンの資料の項目(目次)案を作ってください。
引用:東京商工会議所「中小企業のための
#テーマ
・中小企業のデジタル化の現状と課題
#条件
・プレゼン時間:10分
「生成AI」活用入門ガイド」/https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1200434 引用日2024/01/19
箇条書きの文章を作成してほしい場合には指示を記載した後に「#」を挿入し、「#出力:箇条書き」などと指定します。表を作成してほしい場合には「#出力:表」などと指定しましょう。
3‐2. 最終チェックを必ず行う
AIツールは大量の情報を学習して文章を作成するものの、すべてが正確とは限りません。AIツールは過去に学習した内容をもとに作業を行う仕組みであるため、最新の情報が反映されないケースもあります。AIツールで資料作成する際には、自分自身で正確性を確認しましょう。
また、AIツールが文章を作成する際には第三者の著作物を引用したり酷似した表現を使用したりする可能性があります。プレスリリースなど社外向け資料の作成にAIツールを活用する場合は、著作権を意識した確認作業が欠かせません。
3‐3. 機密情報が含まれていないか確認する
機密情報を含むプロンプトをAIツールに入力すると、情報漏洩につながるリスクがあります。プロンプトを入力する際には、以下の情報が含まれていないことを確認しましょう。
- 顧客データ
- 従業員の個人情報
- 新製品の情報
- 未公開の経理情報 など
上記の他、外部に対する開示が予定されていない情報や秘密として管理されている情報はすべて機密情報に含まれます。情報漏洩が発生すると企業の社会的な信頼が揺らぎ、大きな損失につながるリスクもあるため、従業員一人ひとりの心掛けが重要です。
AIツールの中には、入力した情報を学習させない設定を行えるものもあります。ただし、学習させない設定をしても一定期間は情報が保存されることから、完璧なリスク回避は不可能です。より安全にAIを活用するためには、プロンプトを入力するタイミングで内容を見直し、リスク回避に努めましょう。
まとめ
AIを活用することで、営業資料やプレゼン資料を効率的に作成できます。AIはデータの分析やデザイン・文章の作成、校正などの作業が得意なので、これらの作業はAIに任せることが可能です。
一方、正しい情報が出力されているか、コピーコンテンツが使われていないかなどは人間による確認が必要です、また、情報漏洩のリスクもあるため、信頼できるAIツールを使用したり、機密情報の入力を控えたりしてリスク回避を行いましょう。