業種特化型の専門AIの開発を行い、これまでに2,000もの分野に対応してきたメタリアルは2025年5月15日、広報業務に特化したAIサービス『広報AI』の開発発表を行いました。

この『広報AI』は「プレスリリース」の質を高め、なおかつ作成にかける時間を短縮してくれるツールです。時間をかけてデータを集め、切り口を考え、タイトルと本文を練り上げて作成しても、肝心のメディア掲載や取材が集まるとは限らない、という企業の広報担当者の長年の悩みに寄り添い、共に解決していく相棒になってくれます。
6月上旬から利用が可能になるというこの『広報AI』、実際に企業で広報を担当する方々からの評判はどのようなものだったのでしょうか。ここでは発表会で行われたトークセッションの模様をお届けします。
◾️現場の広報担当者は「プレスリリース作成」に多大な時間を割いている
トークセッションに登壇したのは株式会社令和トラベルで旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRを担当する大木優紀(おおき ゆうき)さん、株式会社medibaで広報を担当する初鹿野さとみ(はじかの さとみ)さん、そしてメタリアルの事業開発室で『広報AI』を担当する山家千晶(やまが ちあき)さんの三人。
大木さんも初鹿野さんも、社内の広報業務を担当するのが自分だけという「一人広報」を経験しているだけあり、プレスリリース作成にかかる時間の大幅な削減につながる『広報AI』には強い関心を寄せている様子でした。
そもそも、プレスリリース作成には時間がかかります。定期的に自社のサービスやプロダクト、あるいは採用や業績まとめといった情報を出していくために、広報業務の中でプレスリリース周りの業務は一定の比重を占めざるをえません。
「多いと(プレスリリースを)月に10本くらい出す月もあります」と語っていた大木さんは、プレスリリース作成の大変さについて「書くこと自体は30分ほどなのですが、調査リリースや業績まとめのような、こちらも注力するプレスリリースについては2週間くらいかけて準備することもあります」と語っていました。

初鹿野さんも「情報収集に時間がかかります。市場調査やヒアリングが入ったりすると1本のプレスリリースを作るのに3時間くらいかかることもありますね。注力するものについてはやはり2週間ほどかかります」としていました。

◾️「メディアに拾われるプレスリリース」の必須要素は言語化できる
では、プレスリリース作成について、お二人はどのような課題や悩みを持っていて、『広報AI』はそれを解決しうるのでしょうか。
「私の場合は最近やっと“一人広報”の状態を脱却して、スタッフが加わりましたし、手伝ってくれるインターン生もいます。ただ、私自身は長くテレビ局にいたので、“このネタならこういうタイトルをつけたらメディアの方の関心を惹きやすい”という勘所を感覚としてわかっているのですが、あくまで感覚ですからチームで共有するのが難しいんです」と語ってくれたのはテレビ局出身の大木さん。熟練者の勘と経験によるところが大きい、というプレスリリース作成の難しさが凝縮されたコメントです。
対して初鹿野さんは「一人広報」ならではの悩みを語ってくれました。
「切り口などを考える際の“壁打ち相手”がいないところで苦労しています。こちらはいいプロダクトだと思っていても、メディアの皆さんや消費者の方々にwin-winの状態で届けるには、情報の出し方に工夫が必要で、独りよがりにならないためにも“壁打ち”をしながら考えたいんですよね」(初鹿野さん)
「メディアの関心を惹くプレスリリース」の言語化、とプレスリリースのアイデアを練る“壁打ち相手”。この2つは、実は『広報AI』の本質とも重なります。
◾️既存のAIが備えていない『広報AI』だけのオリジナル機能
『広報AI』には大きく分けて2つの機能があります。
一つは「プレスリリースの自動作成」です。『広報AI』では300以上のLLM(大規模言語モデル)を連携させる「Metareal AI LLM2」の技術が活用され、リリース内容に関する簡単なメモを入力するだけでプレスリリースを自動作成することが可能になっています。
自動作成自体は汎用AIでも可能ですが、『広報AI』の特徴は、PRを意識したキャッチーな内容に仕上げてくれる点です。発表したい内容を羅列するのではなく、どこに重点が置かれているのか、どこにオリジナリティや新規性があるのか、どこがメディアへのアピールポイントなのか、といったことをAI同士が連携し、わずか数分の間でプレスリリースの形に落とし込んでくれます。
そしてもう一つの機能が「リリース採点機能」です。
この機能ではこれはプレスリリースの内容がどれくらいメディアに掲載される可能性があるかを「話題・トレンド性」「データ・実績の裏付け」「独自性・新規性」「導入部分の魅力」「市場インパクト」「消費者視点」という6つの基準から、そのプレスリリースがメディアに掲載される可能性を60点満点で採点し、評価してくれます(30点以上でメディア掲載可能性が高いと判定)。つまり、自分で作ったプレスリリースにどのくらいメディア掲載の可能性があるかを、この機能を使ってチェックすることができるのです。
大木さんと初鹿野さんの悩みを解決してくれるのはこの機能。なぜなら、この機能では「メディアに掲載されやすいプレスリリース」が要素ごとに分解され、言語化されているからです。これによって、プレスリリースを作る時のポイントをチームで共有することが可能になりますし、『広報AI』から返ってきたフィードバックをもとにプレスリリースをブラッシュアップしていく作業は、まさに“壁打ち”です。この「リリース採点機能」は、他のどのAIサービスにもない『広報AI』だけのオリジナル機能です。
前職で「一人広報」をやっていたという山家さんによると、『広報AI』は広報担当者の“壁打ち相手”になってほしいという気持ちから開発されたそう。そして「リリース採点機能」の6つの基準は、「ランダムに抽出したプレスリリースを対象にそれらがメディア掲載されたかを分析することで、どういった要素を備えていれば掲載されるのかを導き出したものです」(山家さん)
◾️現場の広報担当者が感じた『広報AI』の魅力と可能性
今回大木さんと初鹿野さんは実際に『広報AI』を使い、自身が作ったプレスリリースを判定してもらったそう。果たしてその評価と感想は?
まずは60点満点中26点だったという大木さん。
「ロジカルに遠慮のないフィードバックをくれるのがありがたいと思いました。評価するのが人間だと遠慮も出てきますし、基準がブレることもありますが、『広報AI』は一定の基準があるというのも大きなポイントです。かなり厳しめの評価をくれるので、これに叩いてもらって改善しながらプレスリリースを作成すると良い結果が出やすいかもしれません」(大木さん)

また34点だったという初鹿野さんは「複数の項目に分けてフィードバックをもらえるので、改善点や次から意識するポイントがよくわかります。ゲーム感覚ではないですが、“次はもっと高得点を狙いたい”という気持ちになるのもいいですね。また自動作成機能は自分で作るよりも2時間くらい短縮できました。浮いた時間をよりクリエイティブな時間に充てられるのは、一人で広報をやっている人間としてはとてもありがたいです」と語ってくれました。

6月上旬より利用可能となる『広報AI』。現在は掲載メディアのターゲットとして「ビジネス誌や全国紙」を想定し、新商品やサービスの発表についてのプレスリリース作成が想定されていますが、今後はバージョンアップで、多様な目的や掲載メディアにチャンネルを合わせられる機能が追加されていく可能性も。これからの『広報AI』の進化にも期待ですね!
トライアルなども可能ですので、ご興味がある企業様、団体様はぜひご相談ください。
メディア掲載を最大化する 広報部の第三の社員『広報AI』
『広報AI』は、広報・PR業務に携わる担当者の業務負担を軽減するとともに、メンタル面、スキル面の両側面から支えてくれる心強い相棒です。
『広報AI』は ①メディア掲載確率の高いプレスリリースの自動生成機能と②独自ロジックでプレスリリースのメディア掲載の可能性を採点機能を搭載しています。広報担当者の業務効率化や露出の増加をサポートします。


フリーライター・翻訳者 山田洋介
1983年生。出版系ニュースサイト「新刊JP」で活動するかたわら、公的機関で翻訳者、外国語校閲者としても活動中。使用言語は英・西・亜。
前回の『広報AI』の記事はこちら!