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【Pharma AI Nexgen-製薬AIネクスジェン-】INCBって何:生成AIの利活用とその統制の必要性 

May 26, 2025

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こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。

生成AIと規制薬物の共通点──「有用性」と「統制」のはざまで

皆さんはINCB、International Narcotics Control Bureauという組織をご存知でしょうか。私は15年前に当時の前任者からの職務引継ぎで初めて知りました。日本語では「国際麻薬統制委員会」と翻訳されています。麻薬単一条約(千九百六十一年の麻薬に関する単一条約)というものに日本が加盟していることもそのときに知ることになりました。 

米国の第二期トランプ政権がフェンタニルの不正流通でアメリカ国民を危険に晒すと深く憤っているのもこれに関連しています。 

様々な流通規制薬物は、その中の一部には医療上の有用性が認められるものもあり、単純な禁止ではなく、バランスの取れた規制が国際的に求められていました。個人の乱用や組織ぐるみの不正流通が犯罪組織や政治的謀略と結びつき、国家転覆の道具ともされかねないことから、この条約の加盟国では、規制すべき薬物に対し、国民保護の目的で、製造、流通、保管、販売、移動、譲受譲渡、使用について、この条約の考え方に基づき各国独自の強い規制が設けられています。 

一時話題となった「危険ドラッグ」(当時のマスメディアの用語は「脱法ドラッグ」)などは、この規制の網をかいくぐろうとして、あの手この手で抜け穴を仕掛け、罠にはまった常用者の中枢神経の生体調整機能を破壊し、人生を破滅に導き、さらには生命を脅かそうとする犯罪です。当局の創意工夫の弾力的な運用で予備的な段階で一網打尽にすることで鎮静化されたことは関係者はよくご存じです。 

これらの薬物は、中枢神経系の生理活性物質や受容体アゴニストおよびアンタゴニストと密接に関連しており、その服用または投与によって生命に重大な危機をもたらす非常に危険な薬物が大部分を占めています。 

一方で、医療用途で許可されている薬物は、専門家の指導で服用や投与されることで絶大な効果を患者さんに提供することができます。 

このコラム投稿で意図していることが、そろそろお分かりいただけたのではないでしょうか。 

それは「生成AIの利用は、有益な効果とともに統制がない環境で乱用される可能性があります。」ということです。 生成AIにアシスタント以上の役割を求める人もいるでしょうが、生成AIには法的責任を負うことができません。そのため、生成AIが代理人になることは現状では不可能です。 

現状は、流通規制されるべきAIともいうべき状況ではないでしょうか。私は、万人にとって安全で有用なAIと認められるにはまだ評価の時間が必要ではないかと感じています。

 

統制あるAI活用環境の構築へ──医薬品開発から学ぶプロセス

では、流通規制が必要かもしれないという懸念のある生成AIを安全に利活用するための統制の取れた環境を構築するにはどうすればよいでしょうか。 

新規薬物は医薬品として適用される前に慎重に実験されます。生成AIも同様に、少数のユーザーで試験運用され、様々な適応に導入されました。現在、生成AIはメタリアルグループ内でも安全に使用され、サービスインに向け、本格的な活用が始まっています。 

ラクヤクAIのSaaSサービスのリリースで、医薬品の第3相試験のように、多くの人が利活用してノウハウが蓄積されています。これにより、統制の手法や適切な用途が確保されていくことになります。 

生成AIの本格的な活用を検討されている場合、汎用的なSaaSサービスではなく、プレシジョン・メディシンのように、特定の要件に応じた受託開発をご提案いたします。 

新薬候補物質の探索のように、さらに、未来を目指して、(株)メタリアルでは私が天才と讃える米倉CTOが先頭に立ってAIアシスタントのプロトタイプを開発を発表し、その開発のスピードの源泉となる生成AIオーケストレーションシステムMetareal LLM2の進化に注力しています。 

当社の営業担当者にご相談いただき、自動翻訳サービスの発展形としての専門文書AIの実用化におけるメタリアルグループの開発速度と充実度をご確認ください。 

株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博

1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。

製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」

「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
製薬事業のあらゆるシーンを効率化する専門文書AIサービスです。
基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
様々な文書の作成・チェック作業を自動化し、圧倒的な業務スピード改善を実現します。

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その他、個別カスタマイズが可能な生成AI環境で、
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