建設機械の開発、製造、販売、サービスなどを行う日立建機株式会社は世界各地に製造拠点や販売代理店を持つグローバル企業。それだけに、日々の業務のさまざまな場面で翻訳の必要性が生じます。2020年に導入されたT-4OOは日立建機の業務をどのように変えたのでしょうか?そして、現在は1,500人以上が活用するまでに広がったその理由を、日立建機株式会社マーケティング本部・本部長の藤崎実様と、主任の向井恵子様にお話をうかがいました。


取材ご対応者様プロフィール(※2025年3月時点)

日立建機株式会社 マーケティング本部 本部長 藤崎 実 氏

日立建機株式会社 マーケティング本部 主任 向井 恵子 氏
◾️T-4OOが解決したグローバル企業ならではの課題
――日立建機様とT-4OOの出会いはいつだったのでしょうか?

藤崎氏:2020年頃でしょうか。私がたまたま幕張メッセでやっていたIT展示会に行った時に知ったのがきっかけです。当時私は品質保証本部という部署にいて、業務効率の改善をしたいと考えていました。役立ちそうなツールが何かないかということで定期的にそういう展示会に行っていたんです。それであちこち回ってそろそろ帰ろうかな、と思ったところでたまたま「AI翻訳」というのが目に入って「ちょっと試してみようか」ということで導入しました。
――グローバルにビジネスをされている会社かと思いますが、「言語の壁」ということについて抱えていた問題について教えていただきたいです。

藤崎氏:弊社は中国、インドネシア、インド、ロシア、オランダなどに工場があって、海外での売上が8割です。各地では当然現地スタッフを雇用しますから、彼らとやりとりをする我々も英語などを使えないといけないのですが、皆が皆、語学が得意なわけじゃないですよね。
だから、現地では日本から行っている駐在員が日本と連絡を取る際に「翻訳機」になるわけです。日本から来る連絡は日本語ですし、現地向けに英語などのドキュメントを作る必要もある。これには膨大な時間を要します。その意味では通訳や翻訳に対しての課題感は常にありました。
――現在、T-4OOをお使いいただいている部署や領域はどういったところになりますか?

向井氏:現在は日立建機全部署で導入して1,500人ほどが使っています。日立建機本体だけでなく、世界各国のグループ会社でもたくさん使っています。いっぽう、部署の一部の人が使っているケースもあり、これからまだまだ使う人は増えていくと思います。
――T-4OOは普段仕事で使う専門用語や社内用語などを登録することで、自分たち向けにカスタマイズできるのが大きな特徴の一つですが、日立建機様ではこうしたカスタマイズは部署ごとに行なっているのでしょうか?

向井氏:部署ごとにも行なっていますし、全社でも行なっています。製造系の部署と人事やIT、知財、監査室では使う用語が違いますし、同じ製造系の部署でも、一般的な建設機械の用語と、鉱山の採掘で使うような大型の機械の用語でも違いがあります。ですから、部署ごとに自分たちがよく使う用語を登録してカスタマイズする必要があるんですね。全社向けのカスタマイズでは20人くらいで常に用語をアップデートしながら使っています。
――翻訳ツールにはさまざまなものがありますが、T-4OOを導入する決め手となった点はどこだったのでしょうか?

藤崎氏:導入する前に他の翻訳ツールも使ってみて比較したのですが、翻訳の精度に加えてPowerPointなどの資料のレイアウトを崩さずに翻訳できるのが大きかったです。
向井氏:レイアウトが崩れないのは、使った人はみんな驚いていますね。使い勝手だけでなく導入の決め手としては、ユーザーサポートの部分も大きかったです。何かわからないことがあった時にお電話をするとすぐに答えていただけましたし、導入後もこちらの悩みに対して真剣に向き合ってくれるアフターサポートがあるのはありがたいです。

――T -4OOの導入はスムーズに進みましたか?

藤崎氏:まず品質保証本部で導入したのですが、その後すぐに他の部署からも使いたいという声が出ました。T-4OOを導入することで業務効率化につながるなら費用は品質保証本部で負担するから、と言ったことで他の部署でも導入が進みました。
――全社に広まるのもスムーズに進みましたか?

向井氏:3年前に全社展開したのですが、初期の頃は、T-4OOの翻訳AIに学習させるコツのようなものがまだ掴めず、精度の良い翻訳を出させるのに苦労していたんです。現在では聞くことは無くなったのですが、ある部署から「精度が悪いから使わない方がいい」という声が上がったこともありました。しかし、よく調べてみると、元の日本語が難解だったり、AI翻訳の設定や学習させた元データに誤りがあったりすることが原因だった、ということが多かったです。一方で、AI翻訳がどんなものなのか、ぜひ使ってみたいという部署もありました。私たちは、まずポジティブな部署と連携をしていきました。今では常務会や戦略会議などの大きな会議の資料も、T-4OOで翻訳しています。
藤崎氏:以前は色々な部門から懐疑的な意見がありましたね。「やっぱり人が翻訳をすべきだ」ということも言われました。でも、導入したこちらとしても100点満点の翻訳は求めていなかったんです。80点くらいの翻訳でも、こちらの使う用語を踏まえて80点くらいの訳を「早く」出してくれるということが大事でした。それに、反対意見を言う人たちの言葉を聞いてみると、言い回しへのこだわりが強い場合が多かったです。一方でクリティカルな翻訳のミスは少なかったんです。翻訳文書への細々した違和感は後で直せばいい話なので、問題にはならないと思いました。


向井氏:こちらとしては導入する時に各部署のトップに説明をすれば、部署全体でT-4OOが使われるようになると思っていたんです。でも、実際に英語で困っているのって上層部ではなくてその部署の担当者なんですよ。はじめから日頃翻訳で苦労している担当者に向けて説明をしていたらT-4OOの良さがもっと早く社内で理解されていたように思います。
◾️T-4OOで特許・知財関係の外注翻訳費用の削減へ
――T-4OOは日立建機様の業務にどのように貢献していますか?

藤崎氏:たとえば、ある国で新しい排ガス規制ができる場合、たいていは施行される何年も前に規制の草案ができているんですよ。それをこれまでは工場などの翻訳が専門ではない現地のスタッフが翻訳して日本の本社に内容を伝えていたんですけど、人間が翻訳すると何日もかかりますし、翻訳専門要員ではないため本業の合間で翻訳しているので、通常の人による翻訳よりも時間がかかるわけです。
でもT-4OOのおかげでその翻訳作業の時間が数分で済むわけで、そのぶん現場は準備の初動が早く取れるんです。たとえば、その新しい規制によって新しい装置が必要になった場合、競合他社と取り合いになりますから、規制の内容を早く知ることができることのアドバンテージは大きいです。
――T-4OOは翻訳コストの削減にどのくらい役立っていますか?

向井氏:導入して6年目ですが、現在、翻訳の外注コストの削減について本格的に取り組んでいます。たとえば、これまで数千万円規模の費用をかけて外注していた特許文書の翻訳を、今年からT-4OOで対応し始めました。生成AI翻訳の登場で、外注翻訳からT-4OOに切り替える部署がとても多くなりました。

藤崎氏:社内での翻訳作業にかかっていた時間や工数はすでに削減できており、効果はすでに出ています。今後、外注コストも減っていくでしょうから、T-4OOによるコスト削減効果は当社では億単位になると思います。
――T-4OOの翻訳のチェックはどのようにされていますか?

向井氏:実は社内に翻訳チェッカー専門の方がほとんどいません。というのも、翻訳チェッカーは言語に精通しているだけでは不十分で、当社の業務の用語や仕事の内容、流れについても知っている必要があります。ですから、単純に外部の翻訳会社に頼めばいいという問題でもないんですね。翻訳はできるけれども、社内用語をあまり知らない方については、T-4OOに登録した専門用語のリストを出力して、お渡しするといったこともしています。
――T-4OOに今後どんなことを期待していますか?

藤崎氏:生成AI翻訳の日英翻訳、英日翻訳についてはすでにかなり高い精度で翻訳することができていますから、弊社としましては生成AI翻訳の多言語展開を期待しています。世界各地に製造拠点がある私たちとしましては、ぜひお願いしたいですね!
生成AIによる専門文書の精密な翻訳ソリューション
T-4OOは、LLM (大規模言語モデル) を用いた画期的な翻訳アルゴリズムにより、従来のNMTモデルとの比較で文脈や語調・書き振りをより自然に反映しながら、専門用語や参考文献に基づいた高い翻訳精度を実現。
細分化された2000の分野に対応し、ビジネス・研究開発の専門文書の翻訳など、様々なシーンで活用されてます。

「T-4OO」の機能と特徴
- 専門2000分野・100言語をカバー
- スキャン画像PDFも丸ごと翻訳
- 社内・業界フレーズを自動学習
- Web上でラクラク訳文編集
- その場で解決 電話でサポート
単に文字を翻訳するだけでいいというわけではありません。
T-4OOは、業務フローにこだわった多彩な便利機能で業務効率化を強力にサポートします。