
こんにちは、ファーマ・テック・トランスレーターの石川です。
今回は、2月26日にリリースされ3月17日にアップデートされた「ラクヤクQCチェック」の背景と評価について担当者として雑感をご紹介します。
「文書QC」からの解放を目指して——専門AI開発の背景
メタリアル社の米倉CTOによる四季報AI、ellaの開発経験を活かし、専門文書AIの具体的目標の一つとして製薬分野での苦役的労働である「文書QC」から解放するという目標が立てられました。QCチェックの原型の開発自体は1年以上前から始まっていました。LLMには文脈を読み取る能力があり、適切なプロンプトを与えることで専門的な知識を持つ人間並みの読解力であることは、LLMを活用している多くのユーザーが体験しているところではないかと想像します。
研究者の個人的な活用であれば、秘匿性は別にして、ChatGPTのような素のLLMでも実用レベルです。ただし、ユーザー毎に使い込む事でパーソナライズされるように調整されているChatbotインターフェースのLLMは組織として活用するには向いていません。多くのビジネスユーザーが安心して日常的に使えるようにするには、用途にあったプロンプトチューニングとユーザーインターフェース(User Interface)を整備する必要があります。
実務に即した機能と精度——「ラクヤクQCチェック」の開発と評価
ロゼッタから2025年2月26日にリリースされた「ラクヤクQCチェック」はこのようなニーズにお応えするために開発され、提供開始されました。リリース前のバージョンで様々な文書間での整合性を検討しました。結果はサービス紹介資料とWebページに公開されている通りです。整合性チェック機能の評価は完全一致している箇所の発見も含みますが、「文書QC」業務で特に時間を要すると論文の文脈の読み取り精度に重点を置いて行っています。
3月17日のアップデートでは、β版「AIコメント」を必要な場合に参照できるようになりました。文書間の整合性のご自身の見立てをAIの見立てと比較することができます。AIは、皆さんほどの専門家である保証がありません。皆さんは批判的な立場でご自身の意見と比較してください。稀に「AIコメント」に間違いが含まれる可能性についてもご考慮ください。
幅広いサンプルで検証——さらなる改善と活用の可能性
添付文書とインタビューフォーム間の整合性の評価サンプルは、医療用医薬品で承認年(1991~2022)の範囲の任意の医薬品を対象に幅広く選択しました。
整合性の評価サンプルとした論文は製薬企業で研究開発されている薬効分野の最新のものを使用しました。古い論文では読み取り調整が必要な場合もあり得ます。不具合を経験された場合は、相談窓口までご連絡いただけると幸いです。
お手元に適切な資料が無い場合は、PubMed(検索サンプルとしてlung cancer)やJ-STAGE(登録が必要です)に公開されている論文とその引用文献(英語論文を含む)でその有用性をお試しいただくことができます。もちろんご自身が収集されている論文(テキストコピー可能なPDF形式)間の関連性の確認などにも活用できます。
ご契約いただいたーザーの皆様の声を反映して、皆様のニーズに合ったものに機能と精度がチューニングされてゆきますので様々なご意見をお待ちしております。御社オンリーのカスタマイズについても(株)ロゼッタの営業担当者にご相談ください。

株式会社ロゼッタ/ファーマ・テック・トランスレーター/石川 博
1979年にサントリー(株)の医薬事業の一期生として入社。製剤研究、医薬品開発や上市申請まで幅広い業務に携わる。その後、第一三共グループ時代にロゼッタのAI精度に感銘を受け、「言葉の壁を取り除く」使命を見出しロゼッタへ入社。現在、AI時代の到来に際して専門知識と経験を活かし、製薬業向け「ラクヤクAI」のサービス・CS向上を推進。言葉と製薬業界の未来を切り開く挑戦を続けている。
製薬業界で生成AIを活用する「ラクヤクAI」
「ラクヤクAI」は、治験関係書類や添付文書といった社内外の膨大なデータを活用し
製薬事業のあらゆるシーンを効率化する専門文書AIサービスです。
基礎研究から製造販売後調査まで、多岐に渡る製薬業務の中で取り扱われる
様々な文書の作成・チェック作業を自動化し、圧倒的な業務スピード改善を実現します。

「ラクヤクAI」ご活用シーン(例):
- 治験関連文書やプロモーション資料の自動生成
- 作成資料のクオリティチェックや、資料間の整合性チェック
- 講演内容(資料・音声)の適用外表現モニタリング
- 薬剤情報やナレッジの検索・調査
その他、個別カスタマイズが可能な生成AI環境で、
社内の知見を統合的に分析・集約したアウトプットをセキュアな環境をご提供します。