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【インタビュー記事】翻訳の属人化はもう終わり?-「T-4OO」がもたらすAI翻訳の新時代をロゼッタAI事業部が語る- 

January 30, 2025

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翻訳の属人化はもう終わり?

昨今、企業の海外展開や海外拠点とのやりとりが増えるにつれ、膨大な量の英文ドキュメントを翻訳する必要性が高まっています。しかし、専門性の高い文書ほど“高精度”で翻訳できる人材が限られていたり、翻訳依頼に時間とコストがかかったりと、法務部門や技術部門における翻訳の課題は根深いです。 

そこで注目を集めているのが、専門分野に特化したAI翻訳サービス「T-4OO」。今回は、「T-4OO」を開発している株式会社ロゼッタの AI機械翻訳事業部・前畑さんに、AI翻訳がもたらす業務効率化やコスト削減のメリット、導入事例、さらにはセキュリティ面での取り組みまで詳しくお伺いしました。 

法務・技術文書における翻訳の課題

――まず、御社が提供している「T-4OO」についてお伺いする前に、一般的に企業が抱える「翻訳業務上の課題」についてお聞かせください。 

前畑:翻訳全般、とくに法律・技術関連の専門文書を扱う企業様だと、大きく分けて“3つの課題”をよく耳にします。 

1つ目の課題は 「品質のばらつき」 です。 

企業内で翻訳を内製化すると、担当者ごとの語学スキルや専門知識の差が品質に影響してしまいます。また、複数人で短納期対応する場合、訳語統一の徹底が難しく、文書全体で表記ゆれが生じるケースがあるんです。 

次に 「コストと時間の問題」 です。 

プロ翻訳会社に依頼すると、どうしても単価や工数が高くなりがちで、急ぎの案件や大量文書の翻訳には適用しづらいです。また、社内審議・やり取りのための見積取得にも時間がかかってしまいます。

 

最後に 「機密性の高い文書を扱うリスク」 です。 

特にNDA(秘密保持契約)や法務文書・製品仕様書などは、外部の無料ツールにかけること自体がコンプライアンス上のリスクとなり得ます。「情報漏洩が起きたらどうするのか」という不安を拭えないまま無料翻訳ツールを使う企業も珍しくありません。 

――なるほど。機密文書ほど翻訳精度を求められるので、人手に頼るとコストが跳ね上がるし、かといって無料翻訳ツールはセキュリティ面が不安、というジレンマがあるんですね。 

前畑:おっしゃる通りです。実際、弊社にご相談いただくお客様の多くが「今の翻訳環境だと納期もコストも厳しいうえ、品質やセキュリティに一抹の不安が残る」といった声をお持ちです。海外展開が加速する中「翻訳の属人化から脱却したい」というニーズは年々高まっている印象です。 

「T-4OO」の特徴―専門分野×AI翻訳

――ここからは具体的に「T-4OO」のサービス概要や強みについて教えてください。 

前畑:弊社の「T-4OO」は、2,000以上の専門分野に対応したAI翻訳サービスです。もともと株式会社ロゼッタは、2004年に翻訳会社として創業しました。社内に専門翻訳者が多く在籍していたこともあって、医薬・法務・金融・ITなど特定の分野に絞った高精度AI翻訳を開発してきたんです。 

一般的な無料翻訳ツールは汎用的な文章を中心に学習しているため、専門用語や複雑な文言が出てくるとどうしても精度が落ちてしまいます。一方「T-4OO」は分野特化型に長年こだわってきましたので、「プロ翻訳者にも匹敵する精度(最大95%程度)」を実現できている点が大きな特徴です。 

――2,000分野に対応しているというのは驚きです。具体的にはどのようなジャンルが多いのでしょうか? 

前畑:たとえば法務分野だと、売買契約書やライセンス契約、秘密保持契約など、契約書の種類ごとに最適化された翻訳モデルを備えています。医薬分野では治験関連文書や薬事規制文書、金融分野では投資レポートや決算資料など、非常に細かいカテゴリで翻訳エンジンをチューニングしています。 

また、企業ごとに独自の用語データベースを追加学習させることで、自社製品の名称や訳語のルールを統一できるのも強みですね。 

セキュリティと UI への配慮

――企業ごとに独自の名称などを学習できるのは、すごく便利ですね。機密文書を扱ううえでのセキュリティはどう担保しているのでしょうか? 

前畑:こちらは弊社としても最重要課題と考えていて、セキュリティ対策は徹底しています。たとえばSSL通信の暗号化はもちろん、サーバー上の翻訳データを一定期間(2週間)で自動削除する仕組みを取り入れています。 

さらに、企業ごとに専用環境を構築し、外部へのデータ流出リスクを極力抑える設計を採用しています。 

もともと翻訳会社として受託翻訳も手がけてきた経緯があるので、機密性の高い文書を扱う難しさには慣れているんです。実際、弊社の運用体制では情報漏洩の事故は一度も起きていません。万全を期すため、セキュリティ監視体制もしっかり整えています。 

――クローズドな環境でAI翻訳を実行できるなら、契約書や法務系のドキュメントも安心ですね。操作感はいかがですか?使い方が難しいと社内への展開も大変だと思うのですが…。 

前畑:そこも大きなポイントでして、弊社はユーザーインターフェースを極力シンプルに設計しています。たとえば、ファイルをドラッグ&ドロップすれば翻訳が即座に開始される仕組みなどを採用しています。さらに、Word・Excel・PowerPointなど、主要なファイル形式はもちろん、PDFにも対応していて、翻訳後のレイアウトもほとんど崩れません。 

導入の際はテスト利用期間を設けたり、社内にマニュアルを展開するお手伝いをしたりと、導入サポートも行っています。全社レベルで活用いただくのが理想ですので、多人数で使いやすい仕組みづくりを意識しているんです。 

導入事例――コスト削減と業務効率化

――マニュアル展開のお手伝いや導入サポートをしてもらえるとなると、導入を検討している企業も安心できますね。導入企業の中で、とくに効果を実感された事例を教えてください。 

前畑:オリンパス株式会社様では、約100部門・5,000名規模で「T-4OO」を活用していただいています。海外拠点との文書のやり取りや、社内での英語ドキュメントの閲覧が非常にスムーズになり「翻訳工数が3割削減できた」というお声をいただいています。 

また、旭化成株式会社様では、海外の規制当局に提出する申請書類や技術文書などを、翻訳会社に依頼していたために高額なコストがかかっていました。そこを「T-4OO」に切り替えたことで、プロ翻訳の1/10程度の費用で一定の品質を確保できるようになり「スピーディーに翻訳を回せるようになった」と評価をいただいています。 

――海外とのやり取りが多い企業であれば、とくに恩恵が大きそうですね。翻訳費用を大幅に抑えつつ、納期も短縮できるというのは魅力的です。 

前畑:はい。実際、6,000社以上の導入実績がありますが、専門文書を多く扱う製造業・医薬業・金融業などが導入の中心です。最近は生成AIへの関心が高まっていることもあり「翻訳×生成AI」を掛け合わせた新たなソリューションにも注力しています。専門文書の生成AIはまだまだ発展途上ですが、弊社ならではのノウハウで需要拡大に応えていきたいと考えています。 

「社内データの可視化」による属人化の解消

――翻訳の“ばらつき”や“属人化”を防ぐための機能面での工夫があれば教えてください。 

前畑:一つ大きいのが、翻訳メモリと呼ばれる“過去翻訳の蓄積”を使った仕組みです。たとえば一度「T-4OO」で翻訳したフレーズは、お客様専用のデータベースに登録されます。次回、同様のフレーズが出てきたときは自動的に過去訳を呼び出し、訳語の揺れをなくすわけです。 

これまでは「Aさんだけが知っている専門用語」「Bさんだけが訳し方を統一している文書」などが見えづらかったのですが、「T-4OO」を使えば、社内全体で同じ訳文が共有されるため、人による品質の差が生じにくくなります。さらに独自の用語データベースを拡張すれば「弊社製品名は常にこの訳語を使う」というような社内ルールも簡単に反映できます。 

――「誰が翻訳しても同じような品質」という点は非常に重要ですね。さらに、属人化を解消することで、本来の業務に集中できる時間を増やせるのも大きなメリットです。実際「翻訳自体が目的化してしまうケース」を避けたいと考える企業も多いのではないでしょうか。 

前畑:そうなんです。結局、翻訳作業ばかりに時間を取られてしまうと、肝心の“契約内容の確認”や“交渉に割くリソース”が足りなくなります。「T-4OO」を導入することで、翻訳業務を効率化しつつ、担当者はより本質的な法務・開発・研究などに集中していただけるようになります。それこそが導入メリットの根幹だと思っています。 

今後の展望―生成AIとの融合も視野に

――翻訳業界は今、大きな変革期にあると感じます。今後の「T-4OO」の方向性やロゼッタさんが目指すビジョンについてお聞かせください。 

前畑:おっしゃるように、最近は生成AIやチャットボット型のツールが一気に広まり「AI翻訳はすでに完成したものなのでは?」というイメージがあるかもしれません。でも実際の専門文書、それも高度な契約書や最新の規制文書を完璧に訳せるシステムはまだまだ少ないんです。 

弊社は「T-4OO」を“人の仕事を奪うAI”ではなく、“人がより高度な業務に注力するためのAI”として位置付けています。書類作成や修正作業などを効率化しながら、人間の最終チェックや交渉力をより生かせるようになるからです。 

今後は専門分野別の翻訳精度をさらに高めるとともに、生成AIとの連携も進めたいと考えています。具体的には、契約書ベースで提案文案を自動生成するといった機能も研究中です。 

――生成AIとの連携が密になれば、「T-4OO」を活用する各企業の働き方がガラッと変わりそうですね。これからさらに進化する「T-4OO」に、引き続き注目していきます。本日は非常に詳しいお話をありがとうございました。 

前畑:こちらこそ、ありがとうございました。「T-4OO」が少しでも多くの企業様の業務効率化やグローバル展開に貢献できるよう、今後も機能拡充や生成AIとの連携など、さまざまな挑戦を続けていきます。 

AIメディアライター植田遊馬

Webライター歴4年目。ChatGPTの登場で生成AIの可能性に衝撃を受け「生成AIオタク」に。さまざまな生成AIを駆使しながらライター業を営む傍ら「多くの人に生成AIの魅力を伝えたい!」という想いで、生成AI系メディアでの記事執筆を行っている。

生成AIによる専門文書の精密な翻訳ソリューション

T-4OOは、LLM (大規模言語モデル) を用いた画期的な翻訳アルゴリズムにより、従来のNMTモデルとの比較で文脈や語調・書き振りをより自然に反映しながら、専門用語や参考文献に基づいた高い翻訳精度を実現。

細分化された2000の分野に対応し、ビジネス・研究開発の専門文書の翻訳など、様々なシーンで活用されてます。

「T-4OO」の機能と特徴

  • 専門2000分野・100言語をカバー
  • スキャン画像PDFも丸ごと翻訳
  • 社内・業界フレーズを自動学習
  • Web上でラクラク訳文編集
  • その場で解決 電話でサポート

単に文字を翻訳するだけでいいというわけではありません。
T-4OOは、業務フローにこだわった多彩な便利機能で業務効率化を強力にサポートします。

T-4OOの詳細を確認す

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